応用脳科学R&D研究会

応用脳科学R&D研究会は、一社で取り組むにはまだリスクが大きい研究テーマについて、会員企業と研究者が連携して、事業活用を見据えた研究開発を推進するためのプラットフォームです。

各R&D研究会では、応用脳科学研究及びその事業活用を目指した独創性の高いテーマが掲げられ、会員企業と、当該テーマに関する専門的な研究知見を有する研究者がアドバイザー、共同研究者として参加し、コンセプトの構築、基礎実験、PoC等を通してデータの蓄積を行ないながら研究開発活動を行います。

各R&D研究会の成果は、当該R&D研究会の参加会員及び研究者によって共有され、参加会員は成果を自社に持ち帰り、自社の事業活動に応用することも可能です。また、将来的に、研究成果をもとにした共同実証実験(さらには事業活用)等に移行することを目指して進められます。

応用脳科学R&D研究会の進行プロセス

オープンイノベーションシステムを採用した研究体制を整備した上で、R&D研究会のプロセス全体を通じて一貫して「事業活用」という目標を共有し、成果創出を加速します。

2022年度開催のR&D研究会

2022年度は以下に示すように、新領域における脳科学の応用脳科学コンソーシアムの可能性を探ると共に、継続研究会については、研究内容のブラッシュアップを行います。R&D研究会は合計3つの研究会を開催する予定です。

※研究会の開催・名称・内容等が変更になる場合がございます。

共感コミュニケーション研究会(継続研究)

背景

  • 9年間のCOI期間中に実際に生じた“コミュニケーション”の大きな変化
  • 現在の主たる潮流は、ヒトー機械のインタラクティブ化、ヒト・機械の協業
  • (あらゆるサービスの)オンライン化は、今後も引き続き続くトレンド

取組内容

神経科学・VR・心理研究者等による最新の関連研究知見の紹介とともに、「調整(Modulation)⇒エンハンスメント/リリース」に焦点を当てたビジネス創出の可能性を産学で模索・検討し、具体的な実験検証計画を立案
*状況に合わせて実験検証を実施(費用は別途徴収)

体制

Well-living for Well-being研究会

背景~二つの大きな環境変化の潮流

Information MedicineとDigital Healthの進化
  • 脳は人間の臓器の中で唯一、身体内外の変化を入力情報として処理し、その変化に対応するために情報を出力し身体内外の環境に働きかける情報処理機能を有する臓器
  • 脳科学の進化とともに、この脳の特性に着目し、情報次元から様々な精神・神経疾患の病態解明と治療法開発にアプローチする「Information Medicine」(情報医療)という新しい手法が着目
  • 「Information Medicine」の研究開発は、AI、IoT、各種ウェアラブルデバイス、VRなどの最新のデジタル技術を活用した医療やヘルスケアの効果を向上させる「Digital Health」の浸透とともに加速 ⇒ 特に、メンタルヘルス系の疾患では「Digital Health」の活用が進行
Well-beingに対する社会的欲求の高まりとWell-being Management System(健康経営)の推進
  • 新型コロナ禍、核戦争の脅威、ITによる格差社会の拡大、世界規模で進行中の高齢社会化など、その複雑性が顕在化・加速している社会変化の中で急速に高まる「Well-being」に対する社会的欲求
  • 「well-being」な状態が、一人ひとりの人間が保有する異なる能力を無理なく社会に貢献する形で活用し、結果として社会や企業をより良い方向に導くという考え方が注目
  • この対応の一つとして、健康経営・健康投資が世界的に注目され、「Well-being Management System Standard」のISO規格構築が進行中 ⇒ 高齢社会先進国・日本が果たす重要な役割
  • 健康経営で着目されているアブセンティーズム・プレゼンティーズム等の主要要因は、慢性疼痛、慢性疲労、うつ病など脳疾患・精神疾患と密接に関連
  • 新型コロナ禍が継続的に続く中、日常生活の変化によるストレス増加、治療後に生じているブレインフォグやロングコビッド症候群等、脳の健康を脅かす環境が増加

目的

意思決定、行動の司令塔である脳に着目し、Information Medicineという新たな手法の研究開発を通し、Well-beingな状態を作るために必要なWell-livingを提供する技術・事業の創造、社会実装を目指す。

そのために、

  1. 昨年度まで日常生活における生理的変化・行動的変化をリストバンド型アクチグラフやスマホを活用し生理計測・行動計測のライフ・ログを取得、解析、介入する方法論の研究開発を行なってきた「センシング&トランスフォーメーション研究会」認知症、依存症、慢性疼痛、慢性疲労等の脳関連疾患、ポジティブサイコロロジー、脳のモデル化など様々な視点から脳の健康を検討した「ブレインヘルスケア&インフォメーションメディスン研究会」を融合し、より具体的に計測・解析・介入に関する技術開発を行なう場を創出
  2. 日本(経産省)主導で推進されている健康経営(Well-being Management System Standard)のISO化、すなわちWell-beingに関するルールメーキングの流れを理解・把握し、「脳の健康」に求められる計測技術、介入技術、それらを組合せた「脳の健康維持・改善システム」を先取り開発、実装
  3. 脳の個人差に着目し、日常生活における環境変化とその影響、環境改善(情報)による介入効果の定量的計測、解析可能なDaily Lifelogプラットフォームを構築

さらに、

  1. 健康経営のISO化について先導している産総研・人間情報インタラクション部門(2020年度S&T研究会アドバイザー)、(一社)社会的健康戦略研究所(2020年度ワーキングシニアSIGアドバイザー)との連携を推進
  2. 高齢者による計測デバイス等の評価を行なっている筑波大学みんなの使いやすさラボ(2020年度ワーキングシニアSIGアドバイザー)との連携、脳バイアスや心理特性等、約1,000項目のデータを5万人規模で保有しているNTTデータ経営研究所の人間情報データベースの活用を推進
《参考》 2021年度 S&T(Sensing & Transformation)研究会とBHIM(Brain Healthcare & Information Medicine)研究会の融合ヒューマン・デジタルツイン研究会(継続研究)
2021年度ワーキングシニアを支えるコミュニケーションシステムSIGおよび脳から考える「笑いの力とその活用」SIGの成果も融合
日本主導による健康経営のISO化(Well-being Management System Standard)を視野に入れ活動を推進

取組内容

  • 以下の3つのサブテーマに関して、原則、各業種1~2社、計3社以上の参加があるテーマについて参加企業と参加研究者でチームを編成し取組みを実施
  • 具体的な手法、実験方法等については、参加企業のニーズに応じて、参加研究者と共同で検討を行ない決定
  1. 慢性疼痛軽減システム
    • Oxford大・Ben Seymour先生が取り組まれているPain Learning System(VRを含む)を活用した慢性疼痛軽減プログラム、およびCANが国際パートナーとして参加している英国UK Research and Innovation (UKRI)プロジェクト「Neurotechnology for Chronic Pain」 と連携した慢性疼痛軽減システムの研究開発
      • (例)VRを活用した空間のデザイン(色、形、大きさ等)と痛みの関係性に関する研究開発
  2. スマートα波計測システム
    • 東大・天野薫先生が取り組まれている脳波計を使わず視聴覚情報によってα波‐Jitter波周波数変動による脳状態変化の計測手法を活用したストレス、疲労等の計測・改善システムの開発
    • ③との組合せによる計測手法としての精度検証等
      • (例)作業前後のα波‐Jitter波の変化量によるストレス評価手法の研究開発
  3. ポジティブサイコロジー応用システム
    • 理研・片岡洋祐先生が取り組まれているKOKOROスケール(S&T研究会で活用)や立命館大・山岸典子先生が取り組まれているスマホを活用した感謝日記(S&T研究会で活用)、東京医科歯科大・高橋英彦先生、量子科技研・山田真希子先生らが取り組まれているポジティブサイコロジー・認知バイアスの個人差等を組み入れたデイリーライフログ計測システムを活用した心理的介入方法の研究開発
      • (例)感謝日記によるワーキングモチベーション向上手法の研究開発
  • サブテーマを実行するために、昨年度まで実施していたS&T研究会の成果を活用し、リストバンド型アクチグラフおよびスマートフォンを用いたデイリーライフログデータの計測(連続3カ月×100名程度を予定)が可能なプラットフォーム(Daily Life Log Info-topia)を構築
  • また、応用脳科学アカデミーアドバンスコース「脳の健康」コースの登壇者を中心に、複数の参加企業会員の要望に応じて、主に脳科学、心理学等を活用した情報医療の分野に関する新たな技術開発テーマの探索を行なうための研究会を開催(年3~5回程度を予定)
《参考》Daily Lifelog Info-topia と Well-living for Well-being研究会の関係
Daily Lifelog Info-topia ライフログプラットフォームの概要

体制

脳から考える次世代情報空間研究会

目的

人間の認知・意思決定・生理状態等の知見に基づいて、次世代の情報空間環境・ビジネス創出

本研究会で目指す次世代情報空間:人間、とりわけ個人ごとに異なるポジティブ状態のエンハンスメント、ネガティブ状態のリリースに活用する情報空間であり、結果として現実空間における一人ひとりの人間のWel-beingの向上に資する空間

取組内容

神経科学・VR・心理研究者等による最新の関連研究知見の紹介とともに、「調整(Modulation)⇒エンハンスメント/リリース」に焦点を当てたビジネス創出の可能性を産学で模索・検討し、具体的な実験検証計画を立案
*状況に合わせて実験検証を実施(費用は別途徴収)

体制