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応用脳科学アカデミー

アドバンス 2021年度

痛みと意識:中江 文(大阪大学大学院 生命機能研究科)

「痛みは意識」と表現する臨床家は少なくありません。
今回の講義では二つの観点の意識と痛みとの関係についてお話したいと思います。
一つ目は意識というのは、注意の集中という意味でつかわれることがあります。慢性痛の患者さんは痛みのことばかり考えています。つまり注意が集中している状態と言えると思います。我々はワーキングメモリ課題を使って、注意が集中できない状態を作り出して、その時の痛みの感じ方の変化をとらえたプロジェクトをお話したいと思います。
二つ目は、起きているか寝ているかという意味で使われる意識と痛みの関係についてです。私たち麻酔科医は、麻酔の三要素という考え方で麻酔を習いました。「鎮静(意識を落とすこと)」「鎮痛(痛みをとること)」「筋弛緩」です。そのうちの鎮静と鎮痛ですが、それらは独立した事象だと考えられていましたが、実際にはそうでないことが明らかになってきています。
異なる意味を持った「意識」と「痛み」との関係について、私たちの行ったプロジェクトについての治験を共有し、新たな視点での痛みをのメカニズムを検討していきたいと思っています。

講師

中江 文 先生
大阪大学大学院 生命機能研究科

日時

2021年11月17日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※中江先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

オンライン開催

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

中江 文(なかえ あや)先生

現職

  • 大阪大学大学院 生命機能研究科
  • 脳情報通信融合研究センター
  • PaMeLa株式会社

経歴

  • 1995年 大阪大学医学部付属病院臨床検査診断学にて研修
  • 1996年 大阪大学医学部付属病院集中治療部にて研修
  • 1997年 大阪大学大学院医学研究科,研究生(麻酔学)
  • 1997年 市立豊中病院,技術吏員(麻酔科)
  • 2004年 大阪大学医学部付属病院,医員(麻酔科)
  • 2004年11月~2007年3月 大阪大学大学院医学系研究科,特任助手(麻酔・集中治療医学講座)
  • 2007年4月~2009年9月 大阪大学大学院医学系研究科,助教(麻酔・集中治療医学講座)
  • 2009年10月~2014年7月 大阪大学大学院医学系研究科,特任准教授(常勤)(麻酔・集中治療医学講座)
  • 2014年4月~2017年12月 情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター,協力研究員
  • 2014年8月~2017年3月 大阪大学免疫学フロンティア研究センター,特任准教授(常勤)
  • 2016年2月~現在 PaMeLa株式会社,取締役,CSO
  • 2016年~現在 株式会社国際電気通信基礎研究所,客員研究員
  • 2017年4月~2018年12月 大阪大学大学院生命機能研究科,特任准教授(常勤)(特別研究推進講座)
  • 2018年1月~6月 情報通信研究機構 脳情報融合研究センター,主任研究員
  • 2018年7月~12月 大阪大学大学院生命機能研究科,特任准教授(常勤)(特別研究推進講座)
  • 2018年7月~現在 情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター,協力研究員
  • 2019年1月~現在 大阪大学大学院生命機能研究科,特任教授(常勤)(特別研究推進講座)

研究概要

私は痛みと意識について、特に麻酔メカニズム・痛みのメカニズムについて、小動物を対象としてPETやMRIを用いて研究しています。その他に、痛みの血液検査につなげるための基礎研究や、痛みの測定ツールの開発を目指した脳波研究も行っています。
人間の原始感覚のひとつである痛みの仕組みがわかれば、新しい鎮痛薬を開発する事が出来ます。そうすれば、たくさんの痛みに困っている人々の役に立つと考えています。

主な業績

  • Nakae A. (2016) Mechanism of Pain. In: Kasaki M, Asada M, Fujikado T, Ishiguro H, Osaka M, editors. Cognitive Neuroscience Robotics, Vol. B. Japan: Springer; 2016. pp. 121-146.
  • 中江文. 術後痛の中枢性機序. ペインクリニック 2020年8月. 41(8):1011-1019.
  • Nakae A, Takahiro Soshi, Yumi Tsugita, Chie Kishimoto, and Kosuke Kato. Objective evaluation of pain using experimental heat stimulation. Pain Research. 2018, 33(1), 40-46.
  • Granovsky Y, Anand P, Nakae A, Nascimento O, Smith B, Sprecher E, Valls-Solé J. Normative data for Aδ contact heat evoked potentials in adult population: a multicenter study. Pain. 2016 May, 157(5), 1156-63.
  • Murray KC, Nakae A, Stephens MJ, Rank M, D’Amico J, Harvey PJ, Li X, Harris RL, Ballou EW, Anelli R, Heckman CJ, Mashimo T, Vavrek R, Sanelli L, Gorassini MA, Bennett DJ, Fouad K. Recovery of motoneuron and locomotor function after spinal cord injury depends on constitutive activity in 5-HT2C receptors. Nat Med. 2010 Jun, 16(6),

             

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