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応用脳科学アカデミー

アドバンス 2021年度

脳科学と人工知能の融合:西田 知史(情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員)

近年の人工知能(AI)技術の発展は著しく、脳科学においても脳情報処理をモデル化するための重要な研究ツールとして利用されている。本講義の前半では、脳科学研究においてAI技術を利用するためのフレームワークと、一連の研究から得られた知見を紹介する。特に、私たちのグループが進めている、自然言語処理技術を用いた脳内意味情報のモデル化について解説する。また、その知見を応用して、複雑な映像が誘発する脳活動から、その人が感じた意味内容(物体・動作・印象)を単語や文の形で解読する脳情報デコーディング技術についても紹介する。

一方で、脳科学の知見をAI技術へ取り入れ、人間らしく振る舞うAIを実現しようとする試みも存在する。特に、脳活動から定量化した脳情報をAIに取り入れる脳融合AIのアプローチにおいて、私たちのグループでは性能と汎用性に優れた技術の開発に成功した。検証の結果、この技術によって、AIの振る舞いを脳の振る舞いに近づけるとともに、脳情報の個人差を反映する個性を持ったAIが実現可能であることも確認できた。本講義の後半では、この脳融合AI技術について解説したうえで、産業応用も視野に入れた本技術の可能性について言及する。

講師

西田 知史 先生
情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員

日時

2021年10月5日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※西田先生の講義は、13:00~14:10です。

場所

オンライン開催

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

西田 知史(にしだ さとし)先生

現職

  • 情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員
  • 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい准教授

経歴

  • 2020年12月- 科学技術振興機構 さきがけ兼任研究者
  • 2020年4月- 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい准教授
  • 2019年4月- 情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 主任研究員
  • 2015年4月-2020年3月 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい研究員
  • 2014年11月-2019年3月 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員
  • 2014年4月-2014年10月 京都大学 こころの未来研究センター 研究員

研究概要

私の研究目標は、意味や感性、意識のような人間らしさや個性を生み出す認知情報の脳内表現を理解することです。この目標のもと、fMRIで計測した脳活動に数理分析を適用して、脳内情報の可視化に取り組んでいます。また、その応用として、脳活動からその人の認知内容を読み取る脳情報デコーディング技術の開発や、人間らしく振る舞う人工知能を実現するために脳内情報を人工知能へ組み込む技術の開発も進めています。

主な業績

  • Nishida S, Blanc A, Maeda N, Kado M, Nishimoto S. Behavioral correlates of cortical semantic representations modeled by word vectors. PLOS Computational Biology, 17(6): e1009138, 2021.
  • Niikawa T, Miyahara K, Hamada HT, Nishida S. A new experimental phenomenological method to explore the subjective features of psychological phenomena: its application to binocular rivalry. Neuroscience of Consciousness 2020(1):niaa018, 2020.
  • Nishida S, Nakano Y, Blanc, A, Maeda N, Kado M, Nishimoto S. Brain-mediated Transfer Learning of Convolutional Neural Networks. Proceedings of the Thirty-Fourth AAAI Conference on Artificial Intelligence 34(4):5281–5288, 2020.
  • Nishida S, Nishimoto S. Decoding naturalistic experiences from human brain activity via distributed representations of words. NeuroImage 180(A):232-242, 2018.

             

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