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応用脳科学アカデミー

2022年度

味と匂いのクロスモーダルな情報に関する可視化と定量化:田中 充(九州大学大学院 農学研究院 食料化学工学講座 食品分析学分野 准教授)

ヒトは食品を咀嚼・嚥下する際に、口腔内に放出される呈味・香気成分を味覚・嗅覚(化学感覚)情報として検知するとともに、歯ごたえや舌触りといった食感を触覚・聴覚(物理感覚)情報として検知しており、見た目の視覚情報も加え、これらの感覚から食品の風味を認知して美味しさを評価しています。しかしながら、ヒトが口腔内で検知しているように味やにおいを同時に分析する技術は存在せず、味とにおいを一元化した食品の風味(おいしさ)を定量的に評価することは不可能でした。今回、私どもの研究では、揮発/不揮発性化合物に対する吸着能を有するグラファイトカーボンブラックナノ粒子(GCB)に着目し、GCBをレーザー脱離イオン化質量分析(LDI-MS)のイオン化支援剤として利用することで、味成分(アミノ酸、核酸、糖など)とにおい成分(エステル、アルコール、アルデヒドなど)の同時検出に成功しました。本研究で開発した新たな分析法であるGCB-LDI-MS法は、煩雑な前処理の必要が無く、食品をそのまま分析することが可能です。本成果により、食品本来の味とにおいに寄与する風味成分情報を一元化したデジタル情報へ変換することが可能になり、従来数値として表現することが困難であった食品風味・品質の評価、さらにはおいしさの客観的評価・理解に大いに役立つと期待されます。本講義では、この新たな風味分析技術を中心とした最新の食品成分分析法をご紹介し、味とにおいのクロスモーダルな情報の可視化と定量化が拓く可能性について、議論できればと思います。

講師

田中 充 先生
九州大学大学院 農学研究院
食料化学工学講座 食品分析学分野 准教授
五感応用デバイス研究開発センター (協力教員)

日時

2022年9月2日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※田中先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

NTTデータ経営研究所 9階 セミナールーム

入館方法

JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。応用脳科学アカデミーの案内看板が掲示されています。
そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

田中 充(たなか みつる)先生

現職

  • 九州大学大学院 農学研究院 食料化学工学講座 食品分析学分野 准教授

経歴

  • 2010年 – 2011年: 九州大学大学院・農学研究院, 特任助教
  • 2011年 – 2020年: 九州大学大学院・農学研究院, 助教
  • 2020年 – 2021年: 九州大学, 五感応用デバイス研究開発センター, 准教授
  • 2021年 – : 九州大学大学院 農学研究院, 准教授

研究概要

専門分野 : 食品分析学、食品機能学、分析化学

現在の主要な研究テーマ
  • 質量分析計を用いた新たな食品品質評価法の構築とその応用 (味とにおいの同時検出技術)
  • 高感度・網羅的メタボローム解析によるがんバイオマーカー探索
  • 機能性食品成分の体内吸収挙動の解明
  • 脳機能改善食品成分の作用メカニズムの解明

主な業績

  • Tanaka M.*, Arima K., Takeshita T., Kunitake Y., Ohno N., Miho I., Matsui T. Laser desorption ionization−mass spectrometry with graphite carbon black nanoparticles for simultaneous detection of taste- and odor-active compounds. ACS Applied Nano Materials, 5, 2187–2194, 2022.
  • Hahm, T. H., Matsui, T., Tanaka M.* Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry imaging of tissues via the formation of reproducible matrix crystals by fluorescence-assisted spraying method: a quantification approach. Analytical Chemistry, 94, 1990–1998, 2022.
  • Sheng, X.#, Tanaka, M.#, Katagihara, R., Hashimoto, M., Nagaoka, S., Matsui, T. (#equal contribution) Novel Approach for Simultaneous Analysis of Peptide Metabolites from Orally Administered Glycinin in Rat Bloodstream by Coumarin-Tagged MALDI-MS. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 69, pp. 14840-14848, 2021.
  • Tanaka, M., Kiyohara, H., Yoshino, A., Nakano, A., Takata, F., Dohgu, S., Kataoka, Y., Matsui, T. Brain-transportable soy dipeptide, Tyr-Pro, attenuates amyloid β peptide25-35-induced memory impairment in mice. npj Science of Food, 4, art. no. 7, 2020.
  • Tanaka, M., Hsuan, C., Oeki, M., Shen, W., Goda, A., Tahara, Y., Onodera, T., Sanematsu, K., Rikitake, T., Oki, E., Ninomiya, Y., Kurebayashi, R., Sonoda, H., Maehara, Y., Toko, K., Matsui, T. Identification of characteristic compounds of moderate volatility in breast cancer cell lines. PLoS ONE, 15, art. no. e0235442, 2020.
  • Nguyen, H.-N. #, Tanaka, M. #, Li, B., Ueno, T., Matsuda, H., Matsui, T. (#equal contribution) Novel in situ visualisation of rat intestinal absorption of polyphenols via matrix-assisted laser desorption/ionisation mass spectrometry imaging. Scientific Reports, 9, art. no. 3166, 2019.

など

             

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