オープンイノベーションによる脳科学の産業応用を推進「異分野の研究者・異業種の民間企業からなるコンソーシアム」

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応用脳科学アカデミーベーシックコース1「応用脳科学の基礎」第1回(萩原・片岡先生・妹尾先生)



タイトル「なぜ脳科学をビジネスに活用するのか」

講師紹介

萩原 一平(はぎわら いっぺい)

  • 萩原 写真
    【現職】
      株式会社NTTデータ経営研究所 エグゼクティブ・オフィサー
      応用脳科学コンソーシアム事務局長
      横浜国立大学 大学院 環境情報学府 客員教授
      大阪大学 招へい教授
    【経歴】
    • 早稲田大学 理工学部 電気工学科 卒業。プリンストン大学 大学院 電気工学・コンピュータサイエンス(MSE) 修了
    • 大手電機メーカーにて、新製品企画、開発設計、国内外マーケティング等に従事。
    • その後、大手シンクタンクにて、環境分野を中心に、新規事業化支援、事業化コンソーシアム運営等、数多くのプロジェクトを実施。
    • 2010年に異業種の民間企業(現在約50社)と異分野の研究者(現在約100名)が多数参加し脳科学の産業応用に取り組む「応用脳科学コンソーシアム」(略称「CAN」:Consortium for Applied Neuroscience、NTTデータ経営研究所主催)を創設し事務局長を務める。
  • 【研究概要】

    環境、地域経営、医療・ヘルスケア等の分野で新事業創出やマネジメントに関するコンサルティングを中心に活動してきたが、この10数年は脳科学の産業応用をテーマに、産学連携等を行ないながらコンサルティング活動を行なっている。マーケティング、R&D、マネジメント等、企業活動のあらゆる側面で「脳を知り、脳に聞き、脳を満足させる」ことが重要であり、企業が脳科学をどのように活用できるかについて、脳科学研究とビジネス活動の両面から探求している。

  • 【主な業績】

    主な著書に、「ビジネスに活かす脳科学」(日本経済新聞出版社)、「脳科学がビジネスを変える~ニューロイノベーションへの挑戦」(日本経済新聞出版社)、「思考と行動が早くなる仕事脳の使い方」(日本能率協会マネジメントセンター)、「なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか」(共著、ダイヤモンド社)、「ITアウトソーシング戦略」(共訳、NTT出版)、「リサイクルの知識」(共著、日本経済新聞社)等がある。

開催概要

講義内容

脳科学の分野では、人の社会的行動に伴う脳反応を理解する「社会脳」研究や、五感などの感覚器官から入力される情報を脳がどのように処理し、快・不快の情動反応を引き起こし、意思決定、そして行動に至るかを明らかにする「感性脳」研究が活発化しています。

さらに人工知能の分野でも人間の脳を理解し、その方法論を活用しようという機運が高まっています。

欧米のグローバル企業では10年以上前から脳科学に着目をし、様々な研究開発を行なってきており、今や世界のトップビジネススクールでは脳科学をカリキュラムに組み込んでいます。

ビジネスにおいて、「脳を知り、脳に聞き、脳を満足させる」科学的方法論の活用は急速に進んでおり、本講演では、世界の動向を含め、その一端をご紹介するとともに、産業分野への応用可能性についてお話します。

日時
2021年6月17日(木)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※萩原の講義は、13:00~14:10です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶ お問い合わせフォームより、お問い合わせください。


タイトル「脳科学の基礎知識(1)」

講師紹介

片岡 洋祐(かたおか ようすけ)先生

  • 片岡先生 写真
    【現職】
    • 国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム・チームリーダー
    • 理研-JEOL連携センター マルチモダル微細構造解析連携ユニット・ユニットリーダー(兼務)
    • 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・客員教授
    【経歴】
    • 平成4年3月 滋賀医科大学医学部卒業
    • 平成4年4月 京都大学大学院入学(医学研究科博士課程生理系専攻)
    • 平成8年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士取得)
    • 平成8年4月-平成13年3月 (財)大阪バイオサイエンス研究所・研究員
    • 平成13年4月-平成17年6月 関西医科大学医学部解剖学・講師
    • 平成17年7月-平成21年3月 大阪市立大学大学院医学研究科システム神経科学・講師
    • 平成21年4月-平成25年3月 (独)理化学研究所分子イメージング科学研究センター細胞機能イメージング研究チーム・チームリーダー
    • 平成25年4月-平成30年3月 国立研究開発法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター細胞機能評価研究チーム・チームリーダー
    • 平成30年4月- 現職
  • 【研究概要】

    脳や身体の疲労や炎症、老化のメカニズムと予防・治療法について、個体レベルから分子・細胞レベルまでを結びつけながら研究をおこなっています。特に、身体の中で分子や細胞がどのような役割を担っているのか、また、こうした病態や老化とどのように関係しているのかを、個体まるごとでイメージングできる陽電子放射断層撮影法(PET)や組織・細胞が観察できる光学顕微鏡、そして、細胞内部までを詳細に観察できる電子顕微鏡を組み合わせて調べています。さらに、こうした分子・細胞レベルの基礎研究成果を、人間の日常生活での気分改善や健康増進へ応用するための新たな手法・技術を開発することを目指しています。

  • 【主な業績】
    英文論文
    • Tamura, Y., Takahashi, K., Takata, K., Eguchi, A., Yamato, M., Kume, S., Nakano, M., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. Noninvasive evaluation of cellular proliferative activity in brain neurogenic regions in rats under depression and the treatment by enhanced [18F]FLT PET imaging. J. Neurosci., 36, 8123-8131 (2016).
    • Yamano, E., Sugimoto, M., Hirayama, A., Kume, S., Yamato, M., Jin, G., Tajima, S., Goda, N., Iwai, K., Fukuda, S., Yamaguti, K., Kuratsune, H., Soga, T., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. Index markers of chronic fatigue syndrome with dysfunction of TCA and urea cycles. Sci. Rep. 6: 34990 (2016).
    • Nakano, M., Tamura, Y., Yamato, M., Kume, S., Eguchi, A., Takata, K., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. NG2 glial cells regulate neuroimmunological responses to maintain neuronal function and survival. Sci. Rep. 7: 42041 (2017).
    • Kume, S., Nishimura, Y., Mizuno, K., Sakimoto, N., Hori, H., Tamura, Y., Yamato, M., Mitsuhashi, R., Akiba, K., Koizumi, J., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.. Music improves subjective feelings leading to cardiac autonomic nervous modulation: A pilot study. Front. Neurosci. 11: Article 108 (2017).
    • Tamura, Y. and Kataoka, Y. PET imaging of neurogenic activity in the adult brain: toward in vivo imaging of human neurogenesis. Neurogenesis 4(1): e1281861 (2017).
    • Tamura, Y., Takata, K., Eguchi, A., Kataoka, Y. In vivo monitoring of hair cycle stages via bioluminescence imaging of hair follicle NG2 cells. Sci. Rep. 8, 393 (2018).
    • Takeuchi, Y., Okinaka, Y., Ogawa , Y., Kikuchi-Taura, A., Kataoka, Y., Gul, S., Claussen, C., Boltze, J., Taguchi, A., Intravenous bone marrow mononuclear cells transplantation in aged mice increases transcription of glucose transporter 1 and Na+/K+-ATPase at hippocampus followed by restored neurological functions. Front. Aging Neurosci., in press.
    • など
    日本語論文
    • 片岡洋祐、武坂寿夫 気分の動きをみる新しい技術「KOKOROスケール」自動車技術第66巻12号86-90 (2012).
    • 片岡洋祐 原因別疲労動物モデルと分子神経病態 日本生物学的精神医学会誌 24, No. 4, 211-217 (2013).
    • 片岡洋祐、久米慧嗣 メタボローム解析による疲労病態研究と慢性疲労症候群診断バイオマーカーの開発 医学のあゆみ Vol. 249 No. 4 299-303 (2014).
    • 片岡洋祐 各種生体データを用いた疲労・ストレス評価 製品開発のための生体情報の計測手法と活用ノウハウ -脳計測・生理計測に基づく客観的な感性評価を商品へ活かす- 149-156 (2017).
    • 田村泰久、片岡洋祐 神経炎症制御にかかわるNG2グリア 特集『「病は気から」の謎に迫る Neuroimmunology』 実験医学 (医学書院), 第36巻 第3号 389-393 (2018).
    • 田村泰久、片岡洋祐 脳内神経炎症から神経を保護するグリア細胞 日本認知症学会誌 Vol. 34, 8-12 (2020). 久米慧嗣、小林宣夫、片岡洋祐 ストレス・疲労のセンシングとその評価技術(株式会社技術情報協会)第3節「疲労・ストレス・未病時における分子代謝・超微細構造に基づくバイオマーカー探索研究の取り組み」 183-192 (2019).
    • など
    講演
    • 平成28年1月26日 第11回スマートウエルネス研究会 「情動変化の科学的解明と新事業開発への応用」
    • 平成28年12月14日 ベネッセ地域医療セミナー 「認知症への理解 ~脳科学の視点で~」
    • 平成29年1月20日 健康科学ビジネス推進機構「快適性の追及」事業家コンソーシアム 「疲労および情動変化の科学的解明とヘルスケア産業への応用」
    • 平成30年4月13日 日中平和友好条約締結40周年記念フォーラム・アジア・プライマリ・ヘルスケアフォーラム2018 「日本・理化学研究所における抗疲労・ヘルスケア研究とその展開」
    • 令和元年5月23日 伊藤園健康フォーラム~お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵~ 「茶道の先生はなぜ若々しいのか」
    • など

開催概要

講義内容
「もの」と「情報」があふれる社会から、「幸福」・「快適」社会への転換が模索され始めています。そうした中、「こころ」と脳の関係など、脳科学への関心も高まっています。しかし、一般に、脳の機能を理解することは大変難しいと思われており、ビジネスにどのように利用すればよいかわからないといった声もよく聞きます。本講義ではさまざまなビジネスに携わる方を対象に、脳の機能について基礎から解説し、ビジネスへの応用に結び付くポイントをお示しします。第1回目は脳がはたらく基本原理について、特に脳はその領域(場所)によって受け持つはたらきが異なることや、脳を構成する細胞について解説いたします。また、脳の神経回路の最小単位であるニューロンの基本的な機能について説明いたします。
日時
2021年6月17日(木)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※片岡先生の講義は、14:20~15:30です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶お問い合わせフォームより、お問い合わせください。


タイトル「心理学における心の数値化(1)」

講師紹介

妹尾 武治(せのお たけはる)先生

  • 妹尾先生 写真
    【現職】
    • 九州大学芸術工学研究院 准教授
    【経歴】
    • 2004-2007: Researcher of Japanese Society for promotion of Science (DC1).
    • 2007-2009: Post-Doctoral Fellow, Intelligent Modelling Laboratory(Prof. T. Sato).
    • 2009-2012: Guest Researcher, Intelligent Modelling Laboratory.
    • 2009-2012: 九州大学 (Prof. H. Ito) ポスドク.
    • 2011-2012: Researcher of Japanese Society for promotion of Science (SPD).
    • 2009-2015: Guest Researcher, University of Wollongong, Australia(Prof. S. Palmisano).
    • 2012-現職: 九州大学 准教授
  • 【研究概要】

    視野を一様な運動刺激が占める場合に、実際には静止しているにも関わらず、自己身体に錯覚的移動感覚が生じる現象をベクションと呼ぶ。私はこれまで、ベクションの研究に専念してきた。ベクション研究はBrandt et al. (1973)にはじまり、以降効率的なベクション駆動の刺激における条件(奥行き順序、面積、ジターの付与など)が調べられてきた。私は、効率的なベクション駆動のための刺激特性、ベクションの基礎的な時間特性について明らかにすると同時に、包括的で研究横断的なベクション理解のための仮説の提唱を行った。生理学及び脳科学的な知見の提供と並列して、心理学的なベクション研究も行った。さらに近年ではベクションをツールとして用いることで、人間の認知特性(時間感覚、数覚、記憶など)についても明らかにして来た。さらに、発達研究、マルチモーダル研究などへの領域拡張を、ベクションを軸にして行った。

  • 【主な業績】
    • 1. 『脳がシビれる心理学』妹尾武治著 実業之日本社 単行本 2014/10/16 240ページ
    • 2. 『おどろきの心理学』妹尾武治著 光文社 新書 2016/2/18 278ページ
    • 3. 『脳は、なぜあなたをだますのか: 知覚心理学入門』 妹尾武治著 ちくま新書 新書  2016/8/4 213ページ
    • 4. 『使ってはいけないエセ心理学 使ってもいい心理学』 妹尾武治著 PHP研究所 単行本(ソフトカバー) 2016/9/10 251ページ
    • 5. 『ベクションとはなんだ!?』妹尾武治著 鈴木宏昭 共立出版 2017/5/24 117ページ
    • 6. 感覚・知覚心理学 (シリーズ心理学と仕事). 行場 次朗 (編集), 太田 信夫 (監修), 妹尾武治(分担執筆:8章担当).  北大路書房, 2018/12/3, 221ページ.
    • 7. 『売れる広告 7つの法則』妹尾武治著(共著分担) 光文社 新書 2019. 11/19. 360ページ.

開催概要

講義内容
心理学では、心の内容(主観世界)を数値化することが、長年取り組まれて来た。実際にいくつかは成功と言える例がある。一方で、世間一般には不十分な形での心理アンケートのようなものがはびこり、それが心理学のイメージを低いものにしているように思われる。そこで、本講義ではビジネスシーンでも実践出来る形の心理学的な主観測定法を紹介する。具体的には、心理物理学的アプローチ、現象学的アプローチ、客観的身体系データ測定、を紹介したい。主観を数値に置き換える方法を演者自身が実践した事例や、面白い心理学論文の紹介を通して、学んで頂き、受講後に各人で実践したくなるような講義を目指す。
日時
2021年6月17日(木)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※妹尾先生の講義は、15:40~16:50です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶お問い合わせフォームより、お問い合わせください。

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