オープンイノベーションによる脳科学の産業応用を推進「異分野の研究者・異業種の民間企業からなるコンソーシアム」

トップページ > アカデミー一覧 > 応用脳科学アカデミーベーシックコース1「応用脳科学の基礎」第2回(片岡先生・妹尾先生・茨木先生)

応用脳科学アカデミーベーシックコース1「応用脳科学の基礎」第2回(片岡先生・妹尾先生・茨木先生)



タイトル「脳科学の基礎知識(2)」

講師紹介

片岡 洋祐(かたおか ようすけ)先生

  • 片岡先生 写真
    【現職】
      国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム・チームリーダー
      理研-JEOL連携センター マルチモダル微細構造解析連携ユニット・ユニットリーダー(兼務)
      岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・客員教授
    【経歴】
    • 平成4年3月 滋賀医科大学医学部卒業
    • 平成4年4月 京都大学大学院入学(医学研究科博士課程生理系専攻)
    • 平成8年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士取得)
    • 平成8年4月-平成13年3月 (財)大阪バイオサイエンス研究所・研究員
    • 平成13年4月-平成17年6月 関西医科大学医学部解剖学・講師
    • 平成17年7月-平成21年3月 大阪市立大学大学院医学研究科システム神経科学・講師
    • 平成21年4月-平成25年3月 (独)理化学研究所分子イメージング科学研究センター細胞機能イメージング研究チーム・チームリーダー
    • 平成25年4月-平成30年3月 国立研究開発法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター細胞機能評価研究チーム・チームリーダー
    • 平成30年4月- 現職
  • 【研究概要】

    脳や身体の疲労や炎症、老化のメカニズムと予防・治療法について、個体レベルから分子・細胞レベルまでを結びつけながら研究をおこなっています。特に、身体の中で分子や細胞がどのような役割を担っているのか、また、こうした病態や老化とどのように関係しているのかを、個体まるごとでイメージングできる陽電子放射断層撮影法(PET)や組織・細胞が観察できる光学顕微鏡、そして、細胞内部までを詳細に観察できる電子顕微鏡を組み合わせて調べています。さらに、こうした分子・細胞レベルの基礎研究成果を、人間の日常生活での気分改善や健康増進へ応用するための新たな手法・技術を開発することを目指しています。

  • 【主な業績】
    英文論文
    • Tamura, Y., Takahashi, K., Takata, K., Eguchi, A., Yamato, M., Kume, S., Nakano, M., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. Noninvasive evaluation of cellular proliferative activity in brain neurogenic regions in rats under depression and the treatment by enhanced [18F]FLT PET imaging. J. Neurosci., 36, 8123-8131 (2016).
    • Yamano, E., Sugimoto, M., Hirayama, A., Kume, S., Yamato, M., Jin, G., Tajima, S., Goda, N., Iwai, K., Fukuda, S., Yamaguti, K., Kuratsune, H., Soga, T., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. Index markers of chronic fatigue syndrome with dysfunction of TCA and urea cycles. Sci. Rep. 6: 34990 (2016).
    • Nakano, M., Tamura, Y., Yamato, M., Kume, S., Eguchi, A., Takata, K., Watanabe, Y., and Kataoka, Y. NG2 glial cells regulate neuroimmunological responses to maintain neuronal function and survival. Sci. Rep. 7: 42041 (2017).
    • Kume, S., Nishimura, Y., Mizuno, K., Sakimoto, N., Hori, H., Tamura, Y., Yamato, M., Mitsuhashi, R., Akiba, K., Koizumi, J., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.. Music improves subjective feelings leading to cardiac autonomic nervous modulation: A pilot study. Front. Neurosci. 11: Article 108 (2017).
    • Tamura, Y. and Kataoka, Y. PET imaging of neurogenic activity in the adult brain: toward in vivo imaging of human neurogenesis. Neurogenesis 4(1): e1281861 (2017).
    • Tamura, Y., Takata, K., Eguchi, A., Kataoka, Y. In vivo monitoring of hair cycle stages via bioluminescence imaging of hair follicle NG2 cells. Sci. Rep. 8, 393 (2018).
    • Takeuchi, Y., Okinaka, Y., Ogawa , Y., Kikuchi-Taura, A., Kataoka, Y., Gul, S., Claussen, C., Boltze, J., Taguchi, A., Intravenous bone marrow mononuclear cells transplantation in aged mice increases transcription of glucose transporter 1 and Na+/K+-ATPase at hippocampus followed by restored neurological functions. Front. Aging Neurosci., in press.
    • など
    日本語論文
    • 片岡洋祐、武坂寿夫 気分の動きをみる新しい技術「KOKOROスケール」自動車技術第66巻12号86-90 (2012).
    • 片岡洋祐 原因別疲労動物モデルと分子神経病態 日本生物学的精神医学会誌 24, No. 4, 211-217 (2013).
    • 片岡洋祐、久米慧嗣 メタボローム解析による疲労病態研究と慢性疲労症候群診断バイオマーカーの開発 医学のあゆみ Vol. 249 No. 4 299-303 (2014).
    • 片岡洋祐 各種生体データを用いた疲労・ストレス評価 製品開発のための生体情報の計測手法と活用ノウハウ -脳計測・生理計測に基づく客観的な感性評価を商品へ活かす- 149-156 (2017).
    • 田村泰久、片岡洋祐 神経炎症制御にかかわるNG2グリア 特集『「病は気から」の謎に迫る Neuroimmunology』 実験医学 (医学書院), 第36巻 第3号 389-393 (2018).
    • 田村泰久、片岡洋祐 脳内神経炎症から神経を保護するグリア細胞 日本認知症学会誌 Vol. 34, 8-12 (2020). 久米慧嗣、小林宣夫、片岡洋祐 ストレス・疲労のセンシングとその評価技術(株式会社技術情報協会)第3節「疲労・ストレス・未病時における分子代謝・超微細構造に基づくバイオマーカー探索研究の取り組み」 183-192 (2019).
    • など
    講演
    • 平成28年1月26日 第11回スマートウエルネス研究会 「情動変化の科学的解明と新事業開発への応用」
    • 平成28年12月14日 ベネッセ地域医療セミナー 「認知症への理解 ~脳科学の視点で~」
    • 平成29年1月20日 健康科学ビジネス推進機構「快適性の追及」事業家コンソーシアム 「疲労および情動変化の科学的解明とヘルスケア産業への応用」
    • 平成30年4月13日 日中平和友好条約締結40周年記念フォーラム・アジア・プライマリ・ヘルスケアフォーラム2018 「日本・理化学研究所における抗疲労・ヘルスケア研究とその展開」
    • 令和元年5月23日 伊藤園健康フォーラム~お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵~ 「茶道の先生はなぜ若々しいのか」
    • など

開催概要

講義内容
人間の脳では数百億個のニューロンがお互いに結びついて複雑なネットワーク(神経回路)を構築しています。ニューロンとニューロンの間はシナプスと呼ばれる電子顕微鏡でしかみえない隙間があいており、そこを神経伝達物質と呼ばれる化学物質が媒介して情報を伝えています。第2回はシナプスの構造と機能、そして神経伝達物質のはたらきなどについて説明し、脳で記憶が形成されるメカニズムなど、いわゆる脳の可塑性について解説いたします。
日時
2021年6月25日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※片岡先生の講義は、13:00~14:10です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶ お問い合わせフォームより、お問い合わせください。


タイトル「心理学における心の数値化(2)」

講師紹介

妹尾 武治(せのお たけはる)先生

  • 妹尾先生 写真
    【現職】
    • 九州大学芸術工学研究院 准教授
    【経歴】
    • 2004-2007: Researcher of Japanese Society for promotion of Science (DC1).
    • 2007-2009: Post-Doctoral Fellow, Intelligent Modelling Laboratory(Prof. T. Sato).
    • 2009-2012: Guest Researcher, Intelligent Modelling Laboratory.
    • 2009-2012:  九州大学 (Prof. H. Ito) ポスドク.
    • 2011-2012: Researcher of Japanese Society for promotion of Science (SPD).
    • 2009-2015: Guest Researcher, University of Wollongong, Australia(Prof. S. Palmisano).
    • 2012-現職: 九州大学 准教授
  • 【研究概要】

    視野を一様な運動刺激が占める場合に、実際には静止しているにも関わらず、自己身体に錯覚的移動感覚が生じる現象をベクションと呼ぶ。私はこれまで、ベクションの研究に専念してきた。ベクション研究はBrandt et al. (1973)にはじまり、以降効率的なベクション駆動の刺激における条件(奥行き順序、面積、ジターの付与など)が調べられてきた。私は、効率的なベクション駆動のための刺激特性、ベクションの基礎的な時間特性について明らかにすると同時に、包括的で研究横断的なベクション理解のための仮説の提唱を行った。生理学及び脳科学的な知見の提供と並列して、心理学的なベクション研究も行った。さらに近年ではベクションをツールとして用いることで、人間の認知特性(時間感覚、数覚、記憶など)についても明らかにして来た。さらに、発達研究、マルチモーダル研究などへの領域拡張を、ベクションを軸にして行った。

  • 【主な業績】
    • 1. 『脳がシビれる心理学』妹尾武治著 実業之日本社 単行本 2014/10/16 240ページ
    • 2. 『おどろきの心理学』妹尾武治著 光文社 新書 2016/2/18 278ページ
    • 3. 『脳は、なぜあなたをだますのか: 知覚心理学入門』 妹尾武治著 ちくま新書 新書  2016/8/4 213ページ
    • 4. 『使ってはいけないエセ心理学 使ってもいい心理学』 妹尾武治著 PHP研究所 単行本(ソフトカバー) 2016/9/10 251ページ
    • 5. 『ベクションとはなんだ!?』妹尾武治著 鈴木宏昭 共立出版 2017/5/24 117ページ
    • 6. 感覚・知覚心理学 (シリーズ心理学と仕事). 行場 次朗 (編集), 太田 信夫 (監修), 妹尾武治(分担執筆:8章担当).  北大路書房, 2018/12/3, 221ページ.
    • 7. 『売れる広告 7つの法則』妹尾武治著(共著分担) 光文社 新書 2019. 11/19. 360ページ.

開催概要

講義内容
心理学では、心の内容(主観世界)を数値化することが、長年取り組まれて来た。実際にいくつかは成功と言える例がある。一方で、世間一般には不十分な形での心理アンケートのようなものがはびこり、それが心理学のイメージを低いものにしているように思われる。そこで、本講義ではビジネスシーンでも実践出来る形の心理学的な主観測定法を紹介する。具体的には、心理物理学的アプローチ、現象学的アプローチ、客観的身体系データ測定、を紹介したい。主観を数値に置き換える方法を演者自身が実践した事例や、面白い心理学論文の紹介を通して、学んで頂き、受講後に各人で実践したくなるような講義を目指す。
日時
2021年6月25日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※妹尾先生の講義は、14:20~15:30です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶ お問い合わせフォームより、お問い合わせください。


タイトル「企業の研究開発・マーケティングで知っておくべき消費者の意思決定と行動」

講師紹介

茨木 拓也(いばらき たくや)先生

  • 茨木先生 写真
    【現職】
      株式会社NTTデータ経営研究所 ニューロイノベーションユニット アソシエイトパートナー
    【経歴】
    • 2011年早稲田大学 文学部 心理学科卒(B.A.) 
    • 2013年東京大学 大学院 医学系研究科 脳神経医学専攻 医科学修士課程 修了(MMedSC)
    • 2014年東京大学 大学院 医学系研究科 脳神経医学専攻 医学博士課程 中退
    • 2014年株式会社NTTデータ経営研究所(ニューロイノベーションユニット)入社・コンサルタント
    • 2015年同・シニアコンサルタント
    • 2016年同・マネージャー
    • 2017年総務省次世代人工知能社会実装WG 構成員(第五回)
    • 2018年同・シニアマネージャー
    • 2019年同・アソシエイトパートナー
  • 【研究概要】

    私たちの脳は情報処理臓器です。脳・神経系が扱う情報を大まかに分けると、センサー系=外界や身体内部の状態を各種感覚器によって受容した感覚情報と、運動系=筋肉を動かす計画などの運動情報、そしてそれら「感覚-運動」を結ぶ記憶(赤い信号を見たらブレーキを踏む)・スキル(ボールがこの辺にきたらラケットをこう振る)・感情(嫌いな人を見たら避ける)や認知状態("快適"・"眠い"といった瞬間的な状態や"うつ"といった定常性のある状態)といったものがあります。

    このように種類や持続時間などは異なっても、脳に表現されている様々な情報やその処理様式の基礎科学的理解に基づき、脳情報の読み解き・書き込み・伝送・仮想化する技術をニューロテクノロジー、あるいは脳情報通信技術と総称しています。

    私の仕事は、そうした新事業の可能性があふれている最新の神経科学の知見を社会・産業に応用するため

    1. 基礎研究上の成果を事業応用するための企画・提案
    2. 民間企業から依頼を受けた神経科学関連の受託研究開発支援
    3. 神経科学関連の事業開発支援・実行支援
    4. 関連分野の情報発信

    です。

  • 【主な業績】
    • Uno T, Kawai K, Sakai K, Wakebe T, Ibaraki T, Kunii N, Matsuo T, Saito N. Dissociated roles of the inferior frontal gyrus and superior temporal sulcus in audiovisual processing: top-down and bottom-up mismatch detection. PloS one 10(3) e0122580 2015年3月.
    • 茨木 拓也. 脳科学 脳情報通信ビジネスの黎明. 研究開発リーダー 15(1) 54-58 2018年4月.
    • 茨木拓也, 矢野亮, 萩原一平. 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による生体反応の測定. オペレーションズ・リサーチ 61(7) 435‐441 2016年7月
    • 茨木 拓也, 萩原 一平. 脳科学が拓く新たなマーケティング・コミュニケーション. 日経広告研究所報 50(2) 17-23 2016年4月.
    • 茨木拓也. 神経科学とAIの融合領域の産業上のインパクト. 第41回日本神経科学大会 2018年7月26日.

開催概要

講義内容
脳科学の応用先としてマーケティング分野は古典的に有望な分野とされてきました。この回では広告とモノづくりにフォーカスし、ヒトの好みの形成から、実践的なマーケティングコミュニケーションやモノづくりへの活用事例・可能性について俯瞰したいと思います。
  • 脳のメカニズムから見るブランドへの好みの形成
  • ヒトの購買行動は習慣的。習慣はいかに作られるか
  • ニューロマーケティングの発展と課題
  • 広告分野における脳計測の意義・事例
  • 脳情報通信技術を利用したマーケティングコミュニケーションの最適化
  • 製品・サービス開発に活かす
日時
2021年6月25日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※茨木先生の講義は、15:40~16:50です。
場所
オンライン開催
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶ お問い合わせフォームより、お問い合わせください。

ページトップへ