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お知らせ

2025CANキックオフシンポジウム盛況に終了のご報告と神経オルガノイド解説第四回 「脳とAIの融合革命―ビジネスを変える神経オルガノイドの可能性」

2025CANキックオフシンポジウム「対立?融合? 神経オルガノイド vs 計算論的神経科学 ~AI全盛時代に拓くWetとDryの融合から生まれる新たなサイエンスの未来~」は2025年5月20日に盛況に終了いたしました。会場まで足をお運び頂いた方、オンラインでアクセス頂いた方、誠にありがとうございます。参加が叶わなかった皆さんにおかれまして、以下URLより当日配布資料をダウンロードいただけますので、是非、アクセスいただければ幸いです。

CAN活動紹介資料 https://www.can-neuro.org/pdf/CAN2025KOS_activities.pdf
応用脳科学資格検定制度 https://www.can-neuro.org/pdf/Certification.pdf
インクルージョン導入研修 https://www.can-neuro.org/pdf/Inclusion.pdf
シンポジウムリーフレット https://www.can-neuro.org/pdf/CAN_Kickoff2025_flyer_final.pdf

同シンポジウム開催に先立って複数回にわたって発信していた神経オルガノイド解説の最終回、以下に掲載させていただきます。

神経オルガノイド解説第四回 「脳とAIの融合革命―ビジネスを変える神経オルガノイドの可能性」

本連載では、(神経)オルガノイドの基礎から創薬・医療への応用までを解説してきました。最終回となる今回は、この技術が人工知能と融合して生み出す「オルガノイド・インテリジェンス」という領域に踏み込みます。わずか20ワットで人間の脳が実現する驚異的な計算能力を再現する試み、それが今、ビジネスの新たな地平を切り拓こうとしています。

近年の人工知能の進歩は目覚ましく、特にChatGPTに代表される生成AI分野では世界的な開発競争が加速しています。しかし、AIの急速な性能向上と普及拡大に伴い、深刻な課題も浮上しています。1点目は、AIの学習に膨大なデータが必要とされること。2点目は、1点目とも関連しますが電力需要が急増することです。

これらの課題に対して、神経オルガノイドは優れた解決策を提供します。まず1点目についてですが、神経オルガノイドは従来のAIと比較して学習効率が高いことが示されています。神経オルガノイドに複雑な時空間パターンを示す非線形動的システムの挙動予測をさせたところ、従来の機械学習アルゴリズム(LSTM)の1/10のデータ量・学習時間で同等の精度を達成しました。他にも音声認識タスクやゲームの習得においても、短い訓練期間でオルガノイド内の神経回路が経験から柔軟に学習し、パフォーマンスを最適化させ、一定の成績を残すことが示されています。

電力効率の観点でも、オルガノイド・インテリジェンスは革命的な進歩をもたらします。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年までにデータセンターの電力使用は2倍以上に増加し、現在の日本の総電力消費量を上回る規模に達するとされています。脳の処理能力(推定値)とスーパーコンピュータの処理能力を比較したレポートでは、脳の電力効率はスーパーコンピュータの1000~100万倍にもなると考えられており、神経オルガノイドが喫緊の課題である電力需要増大対策への切り札となることが期待されています。

もちろん、現状では神経オルガノイドの寿命問題や再現性などの技術的課題があります。これらの課題に対し、応用脳科学コンソーシアムでは研究会を組成し、血管化技術の開発や均一性向上技術の開発を行い、高品質かつ均一な神経オルガノイドの供給基盤の構築を目指しています。

<神経オルガノイド解説>
第一回 https://www.can-neuro.org/news/whatisbrainorganoid_1/
第二回 https://www.can-neuro.org/news/whatisbrainorganoid_2/
第三回 https://www.can-neuro.org/news/whatisbrainorganoid_3/

 

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