認知処理と金融・投資行動:池田 新介(関西学院大学 教授)
何らかの判断や決定に迫られたとき、私たちはまず認知負荷の小さい直感によって無意識的に判断しています。判断や決定の合理性はその直感的な判断を自分自身でうまくモニターできるかにかかっています。そうした能力を自己モニタリング力といいます。本講義では認知能力を自己モニタリング力によって捉え、人びとの金融・投資行動の合理性がこの能力にどのように関連しているかについて見ていきます。金融投資行動として、資産選択、株式投資におけるアグレッシブさ、投資への自信過剰、投資パフォーマンス、負債保有、過剰負債などをとりあげます。
講師
池田 新介 先生
関西学院大学 教授
講義:オンデマンド配信
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講師紹介
池田 新介(いけだ しんすけ)先生

現職
- 関西学院大学 教授
- 大阪大学 社会経済研究所 招へい教授
- 大阪大学 名誉教授
経歴
1980年 神戸大学経営学部卒業.
1986年 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程中途退学.
1986年~1992年 神戸大学経営学部助手を経て、同学部助教授.
1992年~2018年 大阪大学経済学部助教授、同大学社会経済研究所助教授を経て、同研究所教授.
2018年~現在 関西学院大学経営戦略研究科教授.
その間,ブリティッシュコロンビア大学(文部省在外研究員),ウィーン大学(安倍フェロー),カーネギーメロン大学(同)で訪問研究員.行動経済学会会長,文部科学省科学官,公認会計士第2次試験委員,証券アナリスト試験委員等歴任.博士(経済学,大阪大学).
研究概要
これまでマクロ経済学,行動経済学,そしてファイナンスの領域で研究を進めてきました.最近はとくに(1)時間やリスクに関連した選好の形成と選択・行動との関連性,(2)セルフコントロールと非合理的な選択・行動の関係,および(3)資産価格の決定,という3つの課題に関心を持っています.
主な業績
著書
・池田新介(2012)『自滅する選択』東洋経済新報社.
・Ikeda, Shinsuke (2016), The Economics of Self-Destructive Choices, Springer.
・池田新介・岡田克彦(2025)『金融市場の行動経済学』日経BP,日本経済新聞出版.
論文
・Ikeda, Shinsuke and Takeshi Ojima (2021), Tempting goods, self-control fatigue, and time preference in consumer dynamics, Economic Theory 72, 1171-1216.
・Ikeda, Shinsuke, Eiji Yamamura, and Yoshiro Tsutsui (2023), COVID-19 enhanced diminishing sensitivity in prospect-thoery risk preferences: A panel analysis, Review of Behavioral Economics 10, 287-313.
受賞歴
・IEFS Japan Koji Shimomura Award, International Economics an Finance Association, 2005.
・第55回日経・経済図書文化賞『自滅する選択』東洋経済新報社,2012.