感性と美がもたらす自動車の価値:久保 賢太(マツダ株式会社 新規事業開発室 主査 )
感性というキーワードがモノづくりの領域に取り入れられて久しい。一方で、モノづくりにおける感性とは、ユーザーのスキルを指すのか、ものが持つ機能・性能を指すのか、明確に定義できていない。一般的には、感性とは美しさを感じたり、受け入れたりするの人間のスキルであるという見解もある。ただそうしたスキルをどのようにものづくりに活かすのか、評価に至る前の開発段階でどのように利用すべきかを整理して説明されることは少ない。本講義では、人の感性というスキルに則り自動車の機能を開発する手法を説明する。その結果、自動車が人を楽しませるものになっていき、ひいては美しさすらも実現することで、自動車そのものの価値がどのように変革させるのかを考察する。
講師
久保 賢太 先生
マツダ株式会社 新規事業開発室 主査
講義:オンデマンド配信
お問い合せ先
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講師紹介
久保 賢太(くぼ けんた)先生

現職
- マツダ株式会社 新規事業開発室 主査
経歴
博士(学術)。専門:生理心理学,認知科学,感性工学。科学技術振興機構ERATO,名古屋大学情報科学研究科を経てマツダ株式会社に入社。マツダのクラフトマンシップ開発を技術主幹として担当したのち、現在は新規事業開発室にて事業開発に従事。
研究概要
入社以来、感性工学に基づく車両の質感機能の開発に従事。目指すブランドイメージを感情反応に当てはめ、心地よさ、美しさを喚起する物理特性を解明。量産車両の内外装装備に織り込んでいる。主な担当プロジェクトはマツダ第7世代群(Mazda3、MX-30、CX-60など)および現行CX-5、ロードスターなど。
主な業績
- Kubo. K., Kawai. N., & Okanoya. K. 2012. Apology isn’t good enough: An apology suppresses an approach motivation but not the physiological and psychological anger measured by EEG, heart rate, and skin conductance level. Plos ONE, 7/3, e33006.
- 久保・賀・川合,2014. 怒り状態の心理・生理反応.心理学評論,Vol. 57, No. 1, 27-44.
- 久保,2020.心理学を利用した自動車感性機能の開発.中国総研,No.93,vol.24(5),63-71. ほか
- 日本認知科学会第29回大会発表賞
- 日本心理学会第77回学術大会特別優秀発表賞
- 電子情報通信学会HCS優秀発表賞2013 ほか