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応用脳科学アカデミー

2025年度

ニューロエコノミクス:松森 嘉織好(一橋大学社会科学高等研究院 脳科学研究センター 特任講師)

本講義では、従来の経済学が前提としてきた「選択行動だけから効用(価値)を推定する」枠組みが、内的な動機・感情や文脈による選択の揺らぎを捉えきれず、意思決定前の迷いを対象にできないという限界を整理します。さらに、行動データに加え脳活動や生理指標を組み合わせるニューロエコノミクスのアプローチを紹介し、価値計算の過程を可視化することで、人間の判断を因果的に説明・予測できる新しい理論体系が構築されつつあることを示します。皆さまには、セルフコントロールの失敗や社会的利他行動、フレーミング効果の内部プロセスといった従来の経済学のモデルで扱うことが難しかった現象を題材に、脳と心を結ぶ視点が経済学の基盤概念をどう再定義し得るかを体験していただきます。ニューロエコノミクスの学際的アプローチは、心理学・神経科学・経済学を横断し共通言語を築き、ビジネスにおける予測や介入の精度を高め得る可能性も秘めていると考えられます。

講師

松森 嘉織好 先生
一橋大学社会科学高等研究院 脳科学研究センター 特任講師

講義:オンデマンド配信

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

松森 嘉織好(まつもり かおす)先生

現職

  • 一橋大学社会科学高等研究院 特任講師
  • 玉川大学脳科学研究所 特別研究員

経歴

2015年 玉川大学脳科学研究所 嘱託研究員
2020年 日本学術振興会 特別研究員
2023年 玉川大学脳科学研究所 嘱託研究員
2025年 一橋大学社会科学高等研究院 特任講師

研究概要

人文社会科学の問いに神経科学の手法でアプローチする研究をしています。

主な業績

松森 嘉織好・飯島 和樹・松元 健二
「ニューロエコノミクス(神経経済学)とは何か? ―ヒトの価値観が生まれる脳の仕組みの理解とその先の未来―
脳機能イメージングによる効用の個人間比較と再分配政策への応用」
『医学のあゆみ』 289巻 2号, pp. 149–153, 2024年4月.

Kaosu Matsumori, Kazuki Iijima, Yasuharu Koike, Kenji Matsumoto
“A Decision-Theoretic Model of Behavior Change.”
Frontiers in Psychology, Vol. 10, 21 May 2019.

Kaosu Matsumori, Yasuharu Koike, Kenji Matsumoto
“A Biased Bayesian Inference for Decision-Making and Cognitive Control.”
Frontiers in Neuroscience, Vol. 12, 12 Oct 2018.

             

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