ニューロマーケティングが広くビジネスの現場にも活用され始めてきていることは周知のことと存じます．広告，パッケージ・製品，価格，棚・店舗内行動など”マーケティング４P（マッカーシーの４P）”といわれる基本的で重要なマーケティング戦略の評価に，ニューロマーケティングは活用されています．とくに，”トライアル”と言われるファーストコンタクトの消費者心理・行動研究においてニューロマーケティングによるアプローチの有効性が認められています．しかし，マーケティング戦略の本丸であるブランド戦略への応用・利活用，研究・考察が潤沢であるとは言えません．そこで本講義では，拙著のブランドラブ（ブランドへの愛着・愛情）に関する消費者神経科学研究における知見をベースとして，ブランド構築（ブランドビルディング）からブランド管理（ブランドマネジメント）に至るブランド戦略全般（ブランディング）に関して，マーケティング実務への消費者神経科学の利活用の可能性について議論していきたいと考えます．

講師

綿貫 真也 先生
流通科学大学 商学部 教授

講義：オンデマンド配信

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

綿貫 真也（わたぬき しんや）先生

現職

• 流通科学大学 商学部 教授

経歴

慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業。横浜国立大学大学院博士課程後期修了。博士（工学）。株式会社リクルート入社。その後、英WPPグループのオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンに参画しストラテジック・プランニングマネジャーとしてB2B，B2C企業のマーケティングコミュニケーション戦略，ブランド戦略を担当。その後、同グループのリサーチ＆コンサルティングファームであるカンター・ジャパンに移籍し、ヘッド・オブ・マーケティングサイエンス、ダイレクターとして，マーケティングコミュニケーションマネジメント，ブランド価値測定を含むブランドマネジメントの運用，手法開発，コンサルテーションを担当．その後，株式会社マクロミルにてR&D本部マーケティングサイエンスダイレクター兼株式会社センタン（マクロミルグループ）取締役を務め、2019年4月より現職。2024年9月より県立広島大学大学院経営管理研究科 SMOフロンティア研究所客員研究員を兼務．

研究概要

ブランドラブ（ブランドへの愛着・愛情）を中心として，ブランドエクイティに関する心理・行動メカニズムを消費者心理学，コンシューマ・ニューロサイエンス（消費者神経科学），機械学習・人工知能のアプローチで分析し，効果的なブランド構築・管理手法の開発を目指すブランドエクイティエンジニアリング研究を行っている．

主な業績

Aesthetic evaluation underpinning brand love relationship development: an activation likelihood estimation meta-analysis and multivariate analysis
Shinya Watanuki
Frontiers in Neuroscience(Frontiers Media) 18 2025年1月3日

Neural mechanisms of brand love relationship dynamics: Is the development of brand love relationships the same as that of interpersonal romantic love relationships?
Shinya Watanuki
Frontiers in Neuroscience (Frontiers Media) 16 2022年11月10日

Neural substrates of brand equity: applying a quantitative meta-analytical method for neuroimage studies
Shinya Watanuki, Hiroyuki Akama
Heliyon (Cell Press) 8(6) e09702 2022年6月10日

Neural Substrates of Brand Love: An Activation Likelihood Estimation Meta-Analysis of Functional Neuroimaging Studies
Shinya Watanuki, Hiroyuki Akama
Frontiers in Neuroscience (Frontiers Media) 14 2020年9月25日

進化型神経回路網モデルによるデータ駆動型ブランディング手法の提案
綿貫真也, 長尾智晴
情報処理学会論文誌（情報処理学会）：数理モデル化と応用(TOM) 10(1) 33-49 2017年3月

進化型多層ニューラルネットワークによるブランドエクイティ測定モデルの構築
綿貫真也, 長尾智晴
マーケティングジャール 36(2) 78-110 2016年9月

Optimizing the Structure of a Path Analysis Model Using a Real-valued Flexibly Connected Neural Network
Shinya Watanuki, Tomoharu Nagao
2016 IEEE 9TH INTERNATIONAL WORKSHOP ON COMPUTATIONAL INTELLIGENCE AND APPLICATIONS (IWCIA) 33-38 2016年