2025年 キックオフシンポジウム:神経オルガノイド VS 計算論的神経科学~AI全盛時代に拓くWetとDryの融合から生まれる新たなサイエンスの未来~ 開催レポート
2025年5月20日、JA共済ビルにおいて、開催された応用脳科学コンソーシアム2025年度キックオフシンポジウム「神経オルガノイド VS 計算論的神経科学~AI全盛時代に拓くWetとDryの融合から生まれる新たなサイエンスの未来~」は大盛況のまま無事終了いたしました。一般公開の本シンポジウムでは、対面もしくはオンラインにて多くの方にご参加頂き、神経オルガノイド、計算論的神経科学分野における関心の高さを伺うことができました。

基調講演では、4名の研究者の方々にご登壇頂き、各先生方の研究分野における最新動向や将来展望等についてお話いただきました。神経オルガノイドについては、理化学研究所生命機能科学研究センター/理研BDR-大塚製薬連携センター、上級研究員 坂口秀也 先生より「神経オルガノイド~その歴史、背景、および将来展望~」、東京大学生産技術研究所 教授 池内与志穂 先生より「脳オルガノイドの応用へ向けて~その価値と役割~」をテーマとしたご説明をいただきました。また、計算論的神経科学分野については、理化学研究所 脳神経科学研究センター・チームリーダー 豊泉太郎 先生より「カオスを用いた脳型ベイズ計算モデル~計算論的脳モデルの可能性~」、理化学研究所 脳神経科学研究センター脳型知能理論研究ユニット ユニットリーダー/京都大学 連携准教授 磯村拓哉 先生より「自由エネルギー原理と計算論的神経科学~人工脳の創造に向けて~」をテーマとしたご説明をいただきました。
次に、CAN事務局長の萩原一平より、2025年度CAN活動方針について、2025年度に開催予定の研究会・SIG等を説明いたしました。
最後に、「AI全盛時代に拓くWetとDryの融合から生まれる新たなサイエンスの未来~神経オルガノイドと計算論的神経科学は融合的に相互進化できるのか~」をテーマに、ご登壇頂いた坂口先生、池内先生、豊泉先生、磯村先生とCAN事務局 長岡陽氏によるパネル討論を実施いたしました。神経オルガノイド分野、計算論的神経科学分野のそれぞれの視点からの応用研究開発・社会実装の可能性、更には生成AI全盛時代を踏まえた融合研究開発の可能性等について活発な議論が行われました。
ホワイエで開催された懇親会では、ご登壇頂いた先生方、来場者同士での情報交換が行われ、盛況のうちに終了となりました。
開催日時
2025/05/20(火)13:00~17:00(懇親会17:15~19:00)
開催場所
JA共済ビルカンファレンスホール
(東京都千代田区平河町2-7-9 JA共済ビル1F)
プログラム

講演者プロフィール
坂口 秀哉 先生
ご所属・ご経歴
理化学研究所生命機能科学研究センター 理研BDR-大塚製薬連携センター 上級研究員
2008年熊本大学医学部医学科卒。初期研修医+神経内科医として4年間、臨床医学の研鑽を行った後、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(笹井研)にて基礎研究を開始する。世界初となる脈絡叢・海馬オルガノイドの作成を達成し、2016年京都大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。その後、京都大学iPS細胞研究所(髙橋淳研)、Salk研究所(Gage研)で研究を行い、世界初となる脊髄オルガノイドの作成や大脳オルガノイドの高度な機能評価研究・動物脳への移植研究および、倫理的な側面に関する文理融合研究などを行う。2020年6月より現職。第34回独創性を拓く先端技術大賞産経新聞社賞などを受賞。
池内 与志穂 先生
ご所属・ご経歴
東京大学 生産技術研究所 物質・環境系部門 分子細胞工学分野 教授
東京大学生産技術研究所教授。東京大学、ハーバード大学医学部、ワシントン大学(セントルイス)医学部での研究活動の後、2014年より神経科学と組織工学を融合した研究を行っている。
豊泉 太郎 先生
ご所属・ご経歴
理化学研究所 脳神経科学研究センター 数理脳科学研究チーム チームディレクター
- 2001年3月 東京工業大学 理学部 物理学科 卒業
- 2003年3月 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 修士課程 修了
- 2006年3月 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 博士課程 修了
- 2006年4月 日本学術振興会 ポスドク研究員(理化学研究所 脳科学総合研究センター,コロンビア大学 理論神経科学センター)
- 2008年3月 The Robert Leet and Clara Guthrie Patterson Trust ポスドク研究員(コロンビア大学 理論神経科学センター)
- 2010年4月 理化学研究所 脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員
- 2011年4月 理化学研究所 脳科学総合研究センター チームリーダー
- 2018年4月 理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー
- 2019年4月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 連携教授
磯村 拓哉 先生
ご所属・ご経歴
理化学研究所 脳神経科学研究センター 脳型知能理論研究ユニット ユニットリーダー
京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻 連携准教授
文科省科研費学術変革領域(A)「予測と行動の統一理論の開拓と検証(2023~2027)」領域代表
- 2012年、東京大学工学部精密工学科卒業
- 2017年、同大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻博士課程修了
- 2017年、理化学研究所脳科学総合研究センター基礎科学特別研究員
- 2018年、理化学研究所脳神経科学研究センター基礎科学特別研究員
- 2020年4月、同センター研究員。2020年6月より現職






