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応用脳科学アカデミー

アドバンス 2022年度

音楽療法と脳科学:佐藤 正之(東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座 特任教授)

 音楽療法の効果については,従来の逸話的・主観的なものから,科学的・客観的なデータによる評価に移りつつある。脳神経疾患のなかで現時点で音楽療法の有効性が確認されているものとして,認知症の behavioral and psychological symptoms of dementia (BPSD),運動性失語の発話障害,パーキンソン病の歩行障害,脳卒中による麻痺,半側空間無視などがある。いずれも介入による行動データの変化とともに,その際の脳活動の変化が脳賦活化実験により調べられている。
 認知機能の評価には各種の神経心理検査が用いられる。既存のこの検査には次のような課題があった:心理士などの専門職が必要,その時点での異常の有無は分かるが経時的な認知機能の変化が正常かどうかは分からない,多くは一つの版しかないので繰り返して行うと練習効果が生じる。さらに新型コロナ感染症の蔓延のため,最近では対面での検査の施行自体が困難である。これらの問題に対処するため私のグループは,オンラインで施行できる認知機能検査「脳検」を開発した。脳検は5つの版を持ち,40~89歳の 5,000名に基づく基準値が設定されている。また脳検は,検査時点での正常/異常だけでなく,認知機能の変化が正常な老化の範囲内か否かを判定できる。それにより,より早期に生活習慣病の厳格な管理や運動習慣の導入などにより,認知機能の悪化の防止が可能になると期待される。さらに,脳検を使うことにより,アルツハイマー病の世界初の根本治療薬であるアデュカヌマブの投与対象者の適正な選定にも役立つと思われる。
 本講義では,神経疾患に対する音楽療法の現時点でのエビデンスを概観するとともに,「脳検」の特徴と活用法について紹介したい。

講師

佐藤 正之 先生
東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座 特任教授

日時

2022年11月11日(金)13:00~16:10(12:40より受付開始)
※佐藤先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

NTTデータ経営研究所 9階 セミナールーム

入館方法

JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。9階に着きましたら、片側のガラス越しに社名が掲示されています。そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

佐藤 正之(さとう まさゆき)先生

現職

  • 東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座 特任教授

経歴

  • 昭和38年 大阪生まれ。
  • 昭和57年 大阪府立三国丘高等学校卒業、相愛大学音楽学部器楽科入学。
  • 昭和61年 相愛大学卒業。府立高校音楽教諭を経て、
  • 昭和63年 三重大学医学部入学
  • 平成6年    同    卒業、同大学神経内科に入局
  •      市立伊勢総合病院、東京都神経科学総合研究所等を経て、
  • 平成15年7月 三重大学医学部神経内科助手
  • 平成21年1月、東北大学大学院医学系研究科 高齢者高次脳医学講座 准教授。
  • 平成22年4月 三重大学大学院医学系研究科 認知症医療学講座 准教授
  • 令和 2年 8月 東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座 特任教授 に就任。

研究概要

専門は神経内科学、神経心理学、認知症医療学。認知症や、失語をはじめとする高次脳機能障害の診療を通して、ヒトの脳機能なかでも音楽の脳内認知機構を中心に研究するとともに、音楽療法のエビデンスの確立を目指して活動している。

主な業績

著書
  • 佐藤正之 「現役医師:その仕事で大事なこと」 22世紀アート、2021、東京
  • 佐藤正之・田部井賢一 「医療関係者のための脳機能研究入門:神経心理学と脳賦活化実験」 北大路書房、2020、京都
  • 佐藤正之 「音楽療法はどれだけ有効か:科学的根拠を検証する」化学同人、2017、京都
学術論文(国際誌)
  • Satoh M, Tabei K, Abe M, Kamikawa C, Fujita S, Ota Y. The correlation between a new online cognitive test (the Brain Assessment) and widely used in-person neuropsychological tests. Dement Geriatr Cogn Disord. 2021, 50: 473-481. Doi: 10.1159/000520521.
  • Satoh M, Tabei K, Fujita S, Ota Y. Online tool (Brain Assessment) for the detection of cognitive function changes during aging. Dement Geriatr Cogn Disord. 50: 85-95, 2021. Doi: 10.1159/000516564.
  • Satoh M, Ogawa JI, Tokita T, Matsumoto Y, Nakao K, Tabei KI, Kato N, Tomimoto H. The Effects of a 5-Year Physical Exercise Intervention with Music in Community-Dwelling Normal Elderly People: The Mihama-Kiho Follow-Up Project. J Alzheimers Dis. 78: 1493-1507, 2020 Nov 7. doi: 10.3233/JAD-200480.
  • Satoh M, Matsuyama H, Asahi M, Matsuura K, Kida H, Tomimoto H. Non-converter mild cognitive impairment with cerebral amyloid angiopathy may be included among persistent amnestic mild cognitive impairment: a case report. Psychogeriatrics, 1-3, 2020. Doi: 10.1111/psyg.12545.   

他国際誌 58編, 国内誌 93編

             

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