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応用脳科学アカデミー

2022年度

自由エネルギー原理の基礎:阪口 豊(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授)

脳のさまざまな機能を統一的な視点から説明する理論として,Karl J. Fristonが提唱している自由エネルギー原理が近年注目を集めています.この理論では,変分自由エネルギーと呼ばれる量を核として,それをさまざまな形に展開し解釈しなおすことによって,知覚や学習,運動生成などを説明します.そして,このようにして得られた個々の脳機能に対する説明は,それぞれの機能に関して従前の計算理論で得られた内容と符合するものになっています.その意味で,自由エネルギー原理は,さまざまな脳機能に関する計算理論を俯瞰するうえで有益な理論であるともいえます.今回の講義では,知覚的推論,精度制御,運動・行動計画などを例にとって(例題は変わるかもしれません),変分自由エネルギーからこれらの説明が導き出される過程や考え方について紹介する予定です.

講師

阪口 豊 先生
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授

日時

2022年8月26日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※阪口先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

オンライン講義←ハイブリッド開催より変更になりました

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

阪口 豊(さかぐち ゆたか)先生

現職

  • 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授 博士(工学)

経歴

  • 1994/09 東京大学工学部 講師
  • 1994/10 電気通信大学大学院情報システム学研究科 助教授
  • 2007/04 電気通信大学大学院情報システム学研究科 准教授
  • 2009/04 電気通信大学大学院情報システム学研究科 教授
  • 2016/04 電気通信大学大学院情報理工学研究科 教授 現在に至る.

研究概要

ヒトの感覚・知覚・運動制御メカニズムの実験的および計算論的研究に従事.行動実験と計算モデルに基づく基礎的研究を土台として,楽器演奏やダンス,職人技といった現実の身体技能の遂行や習得過程や身体技能習得支援方法に関する研究も行っている.

主な業績

著書・翻訳書
  • 乾 敏郎,阪口 豊:自由エネルギー原理入門 – 知覚・行動・コミュニケーションの計算理論,岩波書店,2021.
  • 乾 敏郎,阪口 豊:脳の大統一理論–自由エネルギー原理とは何か,岩波科学ライブラリー299, 岩波書店,2020.
  • 阪口 豊,樺島祥介:脳内情報表現への情報理論的アプローチ,(銅谷,伊藤,藤井,塚田編)脳の情報表現,第7章, 69-86, 朝倉書店, 2002.
  • 阪口 豊, 中野 馨: (山崎,石川編) センサフュージョン,コロナ社,
  • Minsky, M. and Papert, S. (中野 馨,阪口 豊訳):パーセプトロン,パーソナルメディア, 1993.
  • 中野 馨,阪口 豊,森田昌彦,新妻素直,脇本良則,田中宏一良,藤田啓介,衛作人:ニューロコンピュータの基礎,コロナ社, 1990.
解説記事
  • 阪口 豊:随意運動における運動指令パタンの創発,48, 88-93, 計測と制御, 2009.
  • 阪口 豊:センサフュージョンと感覚情報処理のモデル,機械の研究, 48, 423-428, 555-560, 1996.
  • 阪口 豊:触知覚における感覚統合と能動的認識,電子情報通信学会誌, 76, 1222-1227, 1993.
             

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