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応用脳科学アカデミー

2022年度

質感工学と五感工学の基礎と応用:岡嶋 克典(横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授)

私たち人間は五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を通して外界の情報をリアルタイムに収集しており、脳はそれらの情報を基に次の行動を決定しています。五感の中でも視覚は生活する上で重要な情報を提供していますが、私たちは視覚情報から外界の形や色、奥行き、動きだけでなく、物体の「質感」という高次な感性情報も瞬時に取得しています。質感は、色や形とともに製品の価値や購買意欲等に直接影響する重要な属性であり、五感すべてに関連しますが、視覚的な質感は定量的な解析がこれまで困難であったため、色彩工学等に比べて工学的アプローチが遅れていましたが、ここ最近大きく進展している研究分野です。

また各五感情報は脳内で統合・融合され、1つのイベントとして知覚・認識されます。例えば喫食時には、私たちは食品の見た目と音(と匂い)で事前評価した後、口に入れて匂いと味そして食感という五感情報を駆使しながら食品を味わっています。その際、情報統合によって生じる多感覚(マルチモーダル)効果に加えく、ある感覚が他の感覚に影響を与えるクロスモーダル効果(見た目が味に影響する等)も存在します。これらの効果の存在は、製品開発等において1つの側面、例えば製品の視覚情報(見た目)や聴覚情報(音)だけでなく、それらを融合した際のヒトの知覚特性が製品評価に重要であることを示唆しています。

本講演では、当研究室で実施してきた心理物理学実験ならびにVR/AR実験の成果を中心に、視覚の基礎から質感と多感覚情報処理に関する研究手法ならびに研究動向を紹介するとともに、質感工学と五感工学の今後の展望について述べます。

講師

岡嶋 克典 先生
横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授

日時

2022年10月25日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※岡嶋先生の講義は、15:40~16:50です。

場所

NTTデータ経営研究所 9階 セミナールーム

入館方法

JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。応用脳科学アカデミーの案内看板が掲示されています。
そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、 「各種お問い合わせフォーム」 より、お問い合わせください。

講師紹介

岡嶋 克典(おかじま かつのり)先生

現職

  • 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授

経歴

  • 1990年 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 物理情報工学専攻 博士課程修了
  • 同年   防衛大学校 応用物理学教室 助手
  • 1992年 カナダ国立研究所 客員研究員(1993年まで併任)
  • 2001年 東京工業大学 大学院 客員助教授(2003年まで併任)
  • 2003年 通信・放送機構 研究フェロー(2004年まで併任)
  • 2004年 横浜国立大学 大学院環境情報研究院 助教授
  • 同年   情報通信研究機構 特別研究員(2006年まで併任)
  • 現在   横浜国立大学 大学院環境情報研究院 教授

研究概要

主に心理物理学的手法を用いて、視覚系を中心とした脳の情報処理機構の解明・モデル化・シミュレーションと、ヒューマンファクタを考慮したバーチャルリアリティ、画像表示システム、コンピュータグラフィックス、色彩処理システム、加齢福祉工学として各種加齢変化シミュレーション・福祉情報システムの研究・開発に従事

主な業績

著書
  • 「講座 感覚・知覚の科学(第5巻):感覚・知覚実験法」(編、共著):朝倉書店
  • 「視覚心理入門-基礎から応用視覚まで-」(共著):オーム社
解説
  • 「視覚情報によって誘発されるクロスモーダル効果」、映像情報メディア学会誌、72(1), 8-11 (2018)
  • 「食品の見た目が食感・味覚に与える効果の定量化」、オレオサイエンス誌(日本油化学会), 20(11), 493-498 (2020)
論文
  • “Eating with our eyes: From visual hunger to digital satiation,” Brain and Cognition, 110, 53-63 (2016)
  • 「京町家のファサードに好ましい古さ感に関する研究」、日本感性工学会論文誌, 16(3), 285-291 (2017)
  • “A quantitative analysis of the contribution of melanopsin to brightness perception,” Scientific Reports, 9, #7568 (2019)
  • “Effects of varying the standard deviation of the luminance on the appearance of food, flavour expectations, and taste/flavour perception,” Scientific Reports, 10, #16175 (2020)
  • “Perfect Appearance Match between Self-luminous and Surface Colors Can be Performed with Isomeric Spectra,” Scientific Reports, 10, #18350 (2020)
  • 「非整合な視覚情報が歩行の印象に与える影響」, 電気学会論文誌C, 141(12), 1411-1416 (2021)
             

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