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応用脳科学アカデミー

2024年度

運動の誤差を減らす脳の仕組み:井上 雅仁(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター (CiNet) 主任研究員)

 運動がうまくなるには練習が欠かせない。それは運動の「誤差」を減らすように脳が「学習」するからである。この運動の誤差を減らす学習には小脳が重要であることが知られている。この小脳には運動誤差を知らせる信号が届いていると考えられている。1990年ごろに提唱された学説(フィードバック誤差学習)が想定したように、体を動かす司令塔である大脳皮質の「運動野」が「運動の間違いを直そうとして」発する信号が学習に用いられる誤差の信号であり、この信号が小脳に送られると予想して研究を行った。神経細胞活動の記録により、頭頂連合野5野、運動前野、運動野、 小細胞性赤核のニューロンが運動の誤差情報をコードしていること、これらの領域を運動終了直後に電気刺激を加える事により人為的に誤差情報を注入してやると、誤差を修正するかのように、誤差の最適方向の反対方向に終点誤差を徐々に増加させた。これらの結果は、大脳皮質運動関連領野から小細胞性赤核、登上線維を介して小脳に流れ、最終的に運動の学習を促していることを示唆している。 

講師

井上 雅仁 先生
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet)主任研究員

日時

2024年12月06日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部 15:40~16:50
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。

場所

オンライン開催(Zoom)

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

井上 雅仁 (いのうえ まさと)先生

現職

  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 主任研究員

経歴

  • 平成21年 4月 順天堂大学医学部 生理学第1講座 助教
  • 平成27年 4月 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員
  • 平成30年 4月 大阪大学 国際医工情報センター 特任准教授
  • 平成31年 4月 大阪大学大学院 医学系研究科 脳機能診断再建学共同研究講座 特任准教授
  • 令和 2年 4月 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 主任研究員
  • 令和 3年 4月 大阪大学大学院 生命機能研究科 ダイナミックブレインネットワーク研究室 特任准教授
  • 令和 4年 4月 情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 主任研究員

研究概要

ライフサイエンス / 神経科学一般

主な業績

  • High-density mapping of primate digit representations with a 1152-channel µECoG array. Taro Kaiju, Masato Inoue, Masayuki Hirata, Takafumi Suzuki. Journal of Neural Engineering 18(3) 036025-036025 2021年6月1日
  • Minimal Tissue Reaction after Chronic Subdural Electrode Implantation for Fully Implantable Brain–Machine Interfaces. Tianfang Yan, Seiji Kameda, Katsuyoshi Suzuki, Taro Kaiju, Masato Inoue, Takafumi Suzuki, Masayuki Hirata. Sensors 21(1) 178-178 2020年12月29日
  • Motor Error in Parietal Area 5 and Target Error in Area 7 Drive Distinctive Adaptation in Reaching. Masato Inoue, Shigeru Kitazawa. Current Biology 28 2250-2262 2018年 
  • High Spatiotemporal Resolution ECoG Recording of Somatosensory Evoked Potentials with Flexible Micro-Electrode Arrays. Taro Kaiju, Keiichi Doi, Masashi Yokota, Kei Watanabe, Masato Inoue, Hiroshi Ando, Kazutaka Takahashi, Fumiaki Yoshida, Masayuki Hirata, Takafumi Suzuki.Frontiers in Neural Circuits 11 2017年4月11日
  • Influence of conflict between two behavioral rules on the activity of monkey medial and dorsolateral prefrontal neurons. Nejime M, Inoue M, Saruwatari M, Mikami A, Miyachi S. 第40回日本神経科学大会 2017年7月
  • Conflict-related activity of medial prefrontal cortex in macaque monkey. Nejime M, Inoue M, Saruwatari M, Mikami A, Miyachi S. The 50th anniversary symposium of Primate Research Institute, Kyoto University 2017年1月
  • Error signals in motor cortices drive adaptation in reaching. Masato Inoue, Motoaki Uchimura, Shigeru Kitazawa Neuron 90 2016年
  • Conflict between different task rules influences the prefrontal neuronal activities during behavioral choice. 禰占雅史, 井上雅仁, 猿渡正則, 三上章允, 宮地重弘. Annual Meeting, Society for Neuroscience (Oct 18th, 2015, Chicago) 2015年10月

             

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