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応用脳科学アカデミー

ベーシック 2021年度

データサイエンスにおけるELSI:岸本 充生(大阪大学データビリティフロンティア機構 ビッグデータ社会技術部門 教授)

最初に、パーソナルデータに焦点を当てて、データの取得から、学習済みモデルの作成、モデルの適用に至るプロセス、また取得データの二次利用を行うにあたってあらかじめ対処が必要となる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を検討します。

次に、パーソナルデータを利活用した公共政策やデータビジネスの具体的な事例をもとに、実際にどのようなELSIが問題となり、どのような対応がなされたのかを紹介します。

1つ目の事例としては、顔認識を中心とした生体認証技術を取り上げます。国内でもいくつか「炎上」事例がありますが、海外では警察活動、国境管理、学校安全などの文脈で応用例がある反面、反対運動も盛り上がっており、利用を禁止する条例ができたり、裁判が起こされたりしています。何が問題となっていて、どのように対処することが望ましいのかを示します。

2つ目の事例は、業界団体が自主的にガイドラインなどを策定して、ELSIに未然に対応した事例をとりあげます。うまく実施できた事例が国内でもいくつかあります。これらがどのようにして可能になったかを検証します。

これらの事例から分かることは、ELSIに対して、L(法規制)に遵守するだけでは不十分であり、E(倫理)やS(社会)の側面への対応が不可欠であることが分かります。しかし、EやSへの対応はマニュアル通りにやることは難しく、多様な視点やアプローチが必要となります。

講師

岸本 充生 先生

大阪大学データビリティフロンティア機構(IDS) ビッグデータ社会技術部門 教授
大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)センター長

日時

2021年8月6日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※岸本先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

オンライン開催

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

岸本 充生(きしもと あつお)先生

現職

  • 大阪大学データビリティフロンティア機構(IDS) ビッグデータ社会技術部門 教授
  • 大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)センター長

経歴

  • 1998年 京都大学大学院経済学研究科後期博士課程修了
  • 1993年 通産省工業技術院資源環境技術総合研究所安全工学部
  • 2001年 独立行政法人産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター
  • 2008年 独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門 研究グループ長
  • 2014年 東京大学 公共政策大学院 & 政策ビジョン研究センター 特任教授
  • 2017年 大阪大学データビリティフロンティア機構 ビッグデータ社会技術部門 教授
  • 2020年 大阪大学社会技術共創研究センター センター長(兼任)

研究概要

新規技術の研究開発から社会実装を進めるにあたって、現行の法規制、倫理規範、社会受容性との間にギャップ(指針の空白)が生まれ、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を生み出します。過去を振り返ってみると、ELSIへの対応を誤って様々な新規技術が事故や事件を起こしたり炎上したりしてイノベーションが阻害されてきました。

データビジネスは、研究開発から社会実装までの時間が短いことが特徴です。そのため上記のトラブルが生じるリスクが非常に高くなります。

私の専門分野はリスク学と言っています。もともと、化学物質や食品から事故や自然災害まであらゆるリスクを、リスク評価とリスク管理、そしてリスクガバナンスの観点から研究してきました。近年では研究対象を、新規技術(エマージングテクノロジー)、その中でも特にデータビジネスを取り上げています。

主な業績

最近の論文
  • トランプ政権における規制改革 ―規制影響分析(RIA)とレギュラトリーサイエンスの役割― 、季刊評価クォータリー 53 3 – 13 2020年4月
  • 科学的知見と政策的対応の間のギャップを埋めるレギュラトリーサイエンス、セイフティ・エンジニアリング 195 4 – 9 2019年6月
  • 環境規制における規制影響分析(RIA)の進展と課題:米国の石炭火力発電所規制を例に、環境情報科学 48(1) 49 – 54 2019年3月
  • リスク学の発展と原子力技術の深い関係、日本原子力学会誌 61(3) 185 – 187 2019年3月
  • 規制影響評価(RIA)の活用に向けて:国際的な動向と日本の現状と課題、経済系 : 関東学院大学経済経営学会研究論集 275 26 – 44 2018年11月
  • エマージング・リスクの早期発見と対応-公共政策の観点から-、保険学雑誌 642 37 – 60 2018年9月
編著書
  • 「リスク学事典」(丸善書店)
  • 「汚染とリスクを制御する (シリーズ 環境政策の新地平 第6巻) 」(岩波書店)
  • 「基準値のからくり (ブルーバックス) 」(講談社)
  • 「環境リスク評価論 」(大阪大学出版)

など。

  • 『リスクの正体-不安の時代を生き抜くために』(岩波新書,2020)
  • 『コロナ後の世界: いま、この地点から考える』(共著,筑摩書房,2020)
  • 『ブロックチェーンという世界革命-価値観を根本から変えるテクノロジーの正体とは』(河出書房新社,2019)
  • 『文明探偵の冒険-今は時代の節目なのか』(講談社現代新書,2015)
  • 『没落する文明』(共著,集英社新書, 2012)
  • 『食品リスク-BSEとモダニティ』(弘文堂,2005)

ほか

             

関連講義