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応用脳科学アカデミー

2022年度

発達する知能 -量的AIから質的AIへ-:岡田 浩之(玉川大学 脳科学研究所 大学院脳情報研究科 教授)

 発達という言葉からは一般的に、時間的成長に伴う身体的あるいは心的機能の変化を思い浮かべることが多いと思う。しかし、認知発達研究では特に、個々の成長段階における認知機能のメカニズムとその変化を対象としている。学習、理解、記憶、推論、そして問題解決に至る人間の知的活動の本質、すなわち認知機能を探ろうとする認知科学の中でも、認知機能のメカニズムとその変化を扱う認知発達はAI研究と深いつながりを持っている。
 チューリングがAI(知能を持った機械)を設計するのには、人間の乳幼児を参考にすべきと言ったことからも、AI研究の初期から非常に関連しており、近年は強化学習や転移学習といった明確な教示データの少ない学習アルゴリズムのアイディアとして取り入れられてきた。
 今後、汎用人工知能とよばれる、特定のタスクを想定しないAIシステムの実現には、認知発達の研究成果がさらに重要になってくると考えられる。

講師

岡田 浩之 先生
玉川大学 脳科学研究所 大学院脳情報研究科 教授

日時

2022年8月2日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※岡田先生の講義は、15:40~16:50です。

場所

オンライン講義

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

岡田 浩之(おかだ ひろゆき)先生

現職

  • 玉川大学 脳科学研究所 大学院脳情報研究科 教授

経歴

東京農工大学生物システム応用科学研究科生体機構情報システム学専攻博士課程修了。博士(工学)。
1986 年(株)富士通研究所入社。Real World Computingプロジェクトにおいて柔らかな情報処理の研究に従事。
2002 年東海大学理学部助教授を経て、2006 年より玉川大学に勤務。
現在、脳科学研究所応用脳科学研究センター・教授。学術研究所先端知能・ロボット研究センター主任、工学部情報通信工学科・教授。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構アドバイザー。
赤ちゃんの発達とロボットを融合させた研究に興味をもつ。ロボットを通じて、人間を知ることが目標。
2008 年、2010 年ロボカップ@ホームリーグ世界大会優勝。
日本認知科学会、日本赤ちゃん学会、人工知能学会、日本ロボット学会などの会員。

研究概要

乳幼児の言語音声に焦点をあてた言語・認知発達の研究を進めています。特に誕生後数年間に、生得的な音声処理・認知能力と周囲との相互作用により、言語環境に適した認知能力および社会的コミュニケーション能力が創発・発達していく過程とメカニズムを中心テーマに取り組んでいます。

主な業績

  • An investigation of social factors related to online mentalizing in a human-robot competitive game., Takahashi, H., Saito, C., Okada, H. and Omori, T., Japanese Psychological Research, 2013/04, 55(2), 144 – 153
  • エージェントの擬人化の背景にある並列的な認知処理, 高橋英之・岡田浩之・大森隆司・金岡利知・渡辺一郎, 人工知能学会誌, 2013/03, 28(2), 264 – 271
  • An investigation of social factors related to online mentalizing in a human-robot competitive game., Takahashi, H., Saito, C., Okada, H., Omori T., Japanese Psychological Research, 2013, 55(2)
  • 幼児はいかに他者という記号をロボットに見いだすか?, 高橋英之,岡田浩之, 人工知能学会誌, 2012/11, 27(6), 612 – 618
  • 拡張モバイルマニピュレーションのための新規物体の学習, 中村友昭、アッタミミ ムハンマド、杉浦孔明、長井隆行、岩橋直人、戸田智基、岡田浩之、大森隆司, 日本ロボット学会誌, 2012, Vol.30, No. 2, 213 – 224
  • 自己認識における運動主体感の役割と発達メカニズム, 宮崎美智子、高橋英之、岡田浩之、開一夫、, 日本認知科学会誌, 2011/03, 18(1)
  • Word learning does not end at fast-mapping: Evolution of verb meanings through reorganization of an entire semantic domain , Saji, N., Imai, M., Saalbach3, H.,Zhang, Y., Shu, H., & Okada, H. , Cognition, 2011, 118(1), 45 – 61
  • Who is crossing where? Infants’ discrimination of figures and grounds in events., Göksun,T, Hirsh-Pasek,K, Golinkoff,RM, Imai,M, Konishi,H and Okada,H., Cognition, 2011, 121(2), 176 – 95
  • Learning Novel Objects for Extended Mobile Manipulation, Nakamura,T.,Sugiura,K.,Nagai,T.,Iwahashi,N.,Toda,T.,Okada,H.and Omori,T., JOURNAL OF INTELLIGENT & ROBOTIC SYSTEMS,, 2011, DOI: 10.1007/s10846-011-9605-1, 1 – 18
  • A developmental shift from similar to language specific strategies in verb acquisition: A comparison of English, Spanish, and Japanese, Maguire, M. Hirsh-Pasek,K., Golinkoff, R., Imai, M., Haryu, E., Vanegas,S. Okada, H.,Pulverman, R., Sanchez-Davis, B., Cognition, 2011, 114(3), 299 – 319
  • Object Similarity Bootstraps Young Children to Action-Based Verb Extensions. , Haryu, E., Imai, M., & Okada, H., Child Development, 2011, 82-2, 674 – 686
  • コミュニケーションにおける曖昧さとその機能, 高橋英之、岡田浩之, 日本知能情報ファジィ学会誌, 2010/08, 22(4), 450 – 463
  • ロボカップ@ホーム人とロボットの共存を目指して, 岡田浩之・大森隆司, 人工知能学会論文誌, 2010/03, 25(2), 229 – 236
  • 動詞語意獲得における養育者の語りかけの影響, 宮﨑美智子、岡田浩之、針生悦子、今井むつみ, 脳科学研究所紀要, 2010, (3), 17 – 23
  • Novel noun and verb learning in Chinese-, English-, and Japanese-speaking children, Imai, M., Li, L., Haryu, E., Okada, H., Hirsh-Pasek, K., Golinkoff, R. & Shigematsu, J., Child Development, 2008, 79, 979 – 1000
  • Sound sumbolism facilitates early verb learning, Mutsumi Imai, Sotaro Kita, Miho Nagumo ,Hiroyuki Okada, Cognition, 2008, Vol.109, No.1,, 54 – 65
  • 言語の成立にとって、対称性はたまごかにわとりか, 今井むつみ・岡田浩之, 認知科学, 2008, Vol.15, No.3, 470 – 481
  • Modeling Stimulus Equivalencewith Multi Layered Neural Networks, Okada,H., Sakagami.M,. and Yamakawa,H, Lecture Note in Computer Science, 2005, 3512、Springer-Verlag Berlin HeidelBerg, 153 – 160
             

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