1. HOME
  2. 応用脳科学アカデミー
  3. 2023年度
  4. 「乳幼児期の言語学習:支える仕組みと環境」:針生 悦子(東京大学 大学院教育学研究科 教授)

応用脳科学アカデミー

2023年度

「乳幼児期の言語学習:支える仕組みと環境」:針生 悦子(東京大学 大学院教育学研究科 教授)

子どもは母語を”自然に”身につけていくように見えます。しかし、“自然に”とはどういうことなのでしょうか。子どもに話しかけるときも、大人どうしで話すときのような話し方を心がけた方がいいということでしょうか。また、現代において、私たちの周りにはさまざまなメディアがあふれていますが、それらの登場はヒトの歴史においてはごく最近のことです。これを踏まえると、やはり子どもはできるだけこれらのメディアに触れさせないのがよいでしょうか。それとも、それらのメディアは現代ならではのやり方で子どもの言語環境を豊かにしてくれると考え活用すべきでしょうか。とすれば、それらを活用するタイミングは・・・と、子どもの言語環境をめぐる悩みは深まる一方です。本講義では、子どもが話せるようになるまでの言語発達過程について概説し、これらの環境要因がいつ、どのようなかたちで子どもの言語発達に影響を及ぼしうるかについて、近年のエビデンスを参照しながら考えていきたいと思います。

講師

針生 悦子 先生
東京大学 大学院教育学研究科 教授

日時

2023年7月21日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部 15:40~16:50
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。

場所

オンライン(Zoom)

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

針生 悦子(はりゅう えつこ)先生

現職

  • 東京大学 大学院教育学研究科 教授

経歴

  • 1988年 お茶の水女子大学文教育学部卒業
  • 1990年 東京大学大学院教育学研究科修士課程修了
  • 1995年 同博士課程修了。博士(教育学)
  • 1995年 青山学院大学文学部専任講師、
  • 1998年 同 助教授
  • 2003年 東京大学大学院教育学研究科助教授
  • 2007年 職名変更に伴い准教授
  • 2015年より現職

研究概要

子どもは言語をどのように身につけていくのか、また、それを導き支えているのはどのような環境なのか、たとえば、「子どものまわりで話されている言語は、物理的には切れ目のない音の流れであるにもかかわらず、その中から子どもはどのようにして単語という音のかたまりを見つけ、その意味を学び、文法(文の作り方のルール)まで身につけていくのか」「子どもは話し手の気持ちをどのように理解するのか」など

主な業績

主な論文
  • Ikeda,S., Sudo,M., Matsui,T. & Haryu,E. 2021. Developmental changes in understanding emotion in speech in children in Japan and the United States. Cognitive Development, 101110..
  • Sanefuji, W. & Haryu, E. 2018 Preschoolers’ development of theory of mind: The contribution of understanding psychological causality in stories. Frontiers in Psychology, https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00955
  • Yamamoto, H.W. & Haryu, E. 2018 The role of pitch pattern in Japanese 24-month-olds’ word recognition. Journal of Memory and Language, 99, 90-98.
  • Kaneshige, T. & Haryu, E. 2017 Infants predict expressers’ cooperative behavior through facial expressions. PLoS One, 12, e0185840.
  • Haryu, E., & Kajikawa, S. 2016 Japanese children’s use of function morphemes during language development. In S. Iwatate, M. Koyasu, & K. Negayama (Eds.), Frontiers in developmental psychology research: Japanese perspectives (pp.221–236), Tokyo: Hituzi Syobo Publishing.
  • Haryu, E., & Kajikawa, S. 2016 Use of bound morphemes (noun particles) in word segmentation by Japanese-learning infants. Journal of Memory and Language, 88, 18-27.
  • Kaneshige, T. & Haryu, E. 2015 Categorization and understanding of facial expressions in 4-month-old infants. Japanese Psychological Research, 57, 135-142.
  • Jiang, L. & Haryu, E. 2014 Revisiting Chinese-speaking children’s understanding of argument structure. Japanese Psychological Research, 56, 180-188.
  • Ohtake,Y. & Haryu, E. 2013 Investigation of the process underpinning vowel-size correspondence. Japanese Psychological Research, 55, 390-399.
  • Haryu, E. & Kajikawa, S. 2012 Are higher-frequency sounds brighter in color and smaller in size? Auditory-visual correspondences in 10-month-old infants. Infant Behavior and Development, 35, 727-732.
  • Haryu, E., Imai, M. & Okada, H. 2011 Object similarity bootstraps young children to action-based verb extension. Child Development, 82, 674-686.
主な著書
  • 『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』 中公新書ラクレ
  • 『ことばの育ちの認知科学』 新曜社
  • 『言葉をおぼえるしくみ』(共著) ちくま学芸文庫
  • 『言語心理学』(単編著) 朝倉書店
             

関連講義