文脈に操られる運動の記憶:羽倉 信宏(情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室 主任研究員)
マルセル・プルーストの「失われた時をもとめて」の冒頭では、紅茶に浸したマドレーヌを口にした主人公は鮮やかに昔の記憶を思い出します。つまり、「記憶」はそれが作られたときの状況、すなわち、「文脈」と紐づいており、その文脈が手...
応用脳科学アカデミー
マルセル・プルーストの「失われた時をもとめて」の冒頭では、紅茶に浸したマドレーヌを口にした主人公は鮮やかに昔の記憶を思い出します。つまり、「記憶」はそれが作られたときの状況、すなわち、「文脈」と紐づいており、その文脈が手...
新しい技術を用いて多様なサービスが日々生まれている現代のデータ社会では、企業が顧客の購買履歴などの個人情報を収集・分析することは当たり前になっています。その一方で、個人情報保護やプライバシー保護の観点を欠いたことで思わぬ...
脳は約千億のニューロンがそれぞれ数千のシナプスを介して互いに結合し合う巨大なネットワークである。興味深いことに脳内では、ニューロンの活動とシナプスの変化との両方が、自発性に、しかもランダムに動作することが分かっている。例...
介護やリハビリにおける運動支援システムの開発は、ロボットの活躍が期待される応用分野の一つである。従来までの研究開発は、支援によって実現される身体運動の機能性が評価の対象であり、認知や心理面からのユーザケアは理学療法士等の...
ヒトが外界から受ける感覚情報を処理するとき、刺激を感覚器官によって受容し、それらを総合的に意味づけし、経験や記憶に基づいて解釈をおこなう過程を経ます。五感情報ディスプレイはこうした感覚情報の流れを修飾し、編集するものであ...
人間にとって「自分の顔」は、感情を表出し、合図をだす以上の意味を持つ。他者から認識されるための、いわば「身体の名刺」のような機能を持つ。さらに、鏡や写真を通じて自分の顔を知ってしまった我々は、他者の目に映る自分の姿を強...
高度運転支援(自動運転)をはじめAIを基盤とする自動車の技術が実用段階に近づいています.これらの技術は時にドライバーの認知,判断,行動に直接,間接的に介入する必要があり,HMI(Human-Machine Interf...
わたしたちの毎日を豊かに彩る感性と芸術。一見、脳科学とは遠くはなれた領域に思えますが、知覚の探求と精神のはたらきにかかわろうと試みている点では、脳科学とおなじ目的を共有し、深い関係性があると言えます。神経美学とは、認知神...
運動がうまくなるには練習が欠かせない。それは運動の「誤差」を減らすように脳が「学習」するからである。この運動の誤差を減らす学習には小脳が重要であることが知られている。この小脳には運動誤差を知らせる信号が届いていると考え...
さまざまな分野で,パーソナルデータをはじめとした大量のデジタルデータを流通させ,利活用してイノベーションを創出することが期待されています。一方で,データの取り扱いの拡大に伴い,データ利用にかかわる倫理的・社会的問題も顕...