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応用脳科学アカデミー

     

アドバンス2023年度

知覚と行動と学習をつなぐ自由エネルギー原理:吉田 正俊(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授)

ベイズ的知覚観というものがあります。われわれ人間やその他の生き物は、たとえば網膜のようなセンサーに時々刻々と入力してくる観測データを元にして、それを生み出した外界の状態(たとえば太陽の高さ)という隠れ値を推定する、このよ...

音楽療法と脳科学 ~ 失語症に対するメロディックイントネーションセラピー ~:佐藤 正之(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 医師)

 失語症の原因の大多数は脳卒中すなわち脳梗塞や脳出血です。脳は一度障害を受けると,少なくとも現在の医学では,完全に元通りにはなりません。脳卒中により失語症を生じると,その方は残りの人生を不自由な言葉とともに過ごすことにな...

音楽の脳科学的効用:酒井 邦嘉(東京大学 大学院総合文化研究科 教授)

 身近な音楽と言葉の対比から、脳の不思議や人間性の本質について考えてみたいと思います。人間の言語は、「再帰的計算」という本質的な特徴を備えています。再帰的計算に基づく階層的な構造は、さらに音楽などの芸術作品にも反映されて...

触覚の情報化と工学的応用:田中 由浩(名古屋工業大学 電気・機械工学専攻 機械工学分野 教授)

触覚は外界と皮膚との力学的相互用の認識であり,基本的に他者と共有ができない.触覚の情報化は,これまでにない感覚運動支援や他者とのコミュニケーションをもたらす可能性を有する.また,触覚には対象のみならず,自身の皮膚特性や運...

触覚の脳科学:北田 亮(神戸大学 大学院 国際文化学研究科 教授)

本講義では触覚に関する認知脳科学的な知見を概説します。ある対象に触れたときに, 私たちはその形や質感を知覚して何に触れているのかを認識します。その一方で, 物体との接触は心地よさや不快さといった感情の変化を引き起こし, ...

ヒトは美味しさをどう感じているのか:日下部 裕子(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 グループ長補佐)

食品を口に入れた時に引き起こされる感覚は、ひとくくりに「味」と表現されてしまうことが多いですが、実際には味、香り、食感、温度など様々な感覚が関与しています。また、「味」に対する私たちの体の反応は、単に味の種類やおいしい・...

感覚情報統合とマグニチュード知覚:四本 裕子(東京大学 大学院 総合文化研究科 教授)

脳には視覚・聴覚などの感覚知覚に特化した領域が存在する。一方で、時間の知覚は複数の感覚入力が関与する複合的な知覚であり、その単位もミリ秒から年までと幅広い。そのため、時間知覚には複数の脳領域からなるネットワークが関与し、...

認知・行動の無意識的側面と社会への応用:渡邊 克巳(早稲田大学 理工学術院 教授)

脳は外界からの情報入力から中枢神経系を経て行動を発現させるまでの情報処理を驚くほどの速さで行っているが、外界の情報は膨大かつ曖昧であり、脳の能力も世界を正確に表現するには絶対的に不足しているように思われる。にもかかわらず...

生活を豊かにするポジティブ感情に迫る:NAWA Norberto Eiji(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室 主任研究員)

我々は日常生活の中で、様々な場面においてあらゆる感情を体験しながら日々を送っています。人間は喜びや悲しみを伴う出来事を、そうでないものより鮮明に記憶できます。また、過去の出来事を思い出した際に、連想される感情を改めて味わ...