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応用脳科学アカデミー

2022年度

認知心理学から見た情報デザインと注意制御:河原 純一郎(北海道大学 大学院 文学研究院 心理学 講座 教授)

注意は適応的に行動し、身の回りのものごとを認識するために欠かせない機能ですが、多面性をもっており、いくつもの働きと特性があります。本講義では、まず注意の3つの主要な制御の仕方について解説します。「この位置に注目して、他は無視しよう」というように、注意は能動的・意図的に制御することもできますが、同時に目立つもの/事象にも自動的・非意図的に引っ張られてしまうこともあります。また、これらの他に、過去の経験などによっても無意識的に向けられてしまう注意もあります。こうした複数のタイプの注意制御には時間特性にも違いがあります。講義では、さまざまなタイプの注意制御が働く最適時間についても解説します。この他、製品広告や動画CMを見るときの注意や意図についても紹介する予定です。

講師

河原 純一郎 先生
北海道大学 大学院 文学研究院 心理学講座 教授

日時

2022年10月25日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※河原先生の講義は、13:00~14:10です。

場所

オンライン講義←ハイブリッド開催より変更になりました

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、 「各種お問い合わせフォーム」 より、お問い合わせください。

講師紹介

河原 純一郎(かわはら じゅんいちろう)先生

現職

  • 北海道大学 大学院 文学研究院 心理学 講座 教授

経歴

  • 平成9  広島大学院教育学研究科 博士課程後期修了 学位: 博士(心理学)
  • 平成9  東京大学大学院人文社会系研究科博士研究員(日本学術振興会特別研究員)
  • 平成10  ブリティッシュコロンビア大学心理学科視覚研究室博士研究員
  • 平成11  広島大学教育学部助教授
  • 平成18  産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 主任研究員
  • 平成24  中京大学大学院心理学研究科 教授
  • 平成27  北海道大学 大学院文学研究科 特任准教授
  • 令和2  北海道大学 大学院文学研究院 教授(現在に至る)

研究概要

専門は認知心理学で、とくに認知行動に及ぼす注意の影響を調べています。注意は物体認識から記憶、適応的行動にまで関わる、重要な選択と抑制の機構です。一つの作業に集中しているときに、どのような事態に妨害を受けやすいか、いったん妨害を受けてから立ち直るまでの時間経過はどうなっているのか。また、妨害の受けやすさに個人差はあるか。ストレスなど、個人の心身状態と注意の関係はあるかなど、行動実験を主として、応用を視野に入れた研究に取り組んでいます。

主な業績

  • Ito, M., & Kawahara, J. (2020). Search and concealment strategies in the spatiotemporal domain. Attention, Perception, & Psychophysics. 10.3758/s13414-020-01976-6
  • Tanda, T., & Kawahara, J. (2020). An object-based template for rejection effect. Visual Cognition. 10.1080/13506285.2020.1722774
  • 前澤知輝・宮崎由樹・松長芳織・柴田彰・河原純一郎 (2020). 衛生マスクへの着香が花粉症の不快感低減に及ぼす効果とその時間的推移 人間工学, 56, 29-33.
  • 宮崎由樹・神山龍一・三宅大輔・河原純一郎 (2019). ウェットティッシュの取り出しやすさが製品の印象や製品選択に及ぼす影響 人間工学, 55, 145-154.
  • Tanda, T. & Kawahara, J. (2019). Association between cue lead time and template-for-rejection effect. Attention, Perception, & Psychophysics, 81, 1880-1889. doi: 10.3758/s13414-019-01761-0
  • Yamauchi, K., & Kawahara, J. (2019). A singleton distractor updates the inhibitory template for visual marking. Acta Psychologica, 192, 200-211. doi:10.1016/j.actpsy.2018.11.014
  • Kawahara, J., & Kumada, T. (2017). Multiple attentional sets while monitoring rapid serial visual presentations. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 70, 2271-2289. doi: 10.1080/17470218.2016.1231827
  • Kihara, K., Kondo, H. M., Y., & Kawahara, J. (2016). Differential contributions of GABA concentration in frontal and parietal regions to individual differences in attentional blink. The Journal of Neuroscience, 36, 8895-8901. doi:10.1523/JNEUROSCI.0764-16.2016
  • 河原純一郎・横澤一彦 (2015). 注意―選択と統合― 勁草書房. ISBN: 978-4326251087
  • 19. 河原純一郎 (2018) 実験心理学ハンドブック 基礎心理学会 (監修) 朝倉書店 [責任編集・1.1, 1.6, 4.3章執筆]
  • 三浦佳世・河原純一郎 (2019). 美しさと魅力の心理. ミネルヴァ書房 (編著). ISBN 9784623086597
  • 河原純一郎 (2020). 注意の容量 研究テーマ別 注意の生涯発達心理学 3章 坂田陽子・河西哲子・日比優子(編著) ナカニシヤ pp. 27-46.

             

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