『自由エネルギー原理とActive Inference:アルゴリズムの基礎から自動車開発への応用まで』:木寺 和治(株式会社本田技術研究所 総合研究センター パワー・ダイナミクス研究ドメイン チーフエンジニア)
本講義では、自由エネルギー原理と、それに基づくActive Inference(能動的推論)を、認識・行動・学習を統一的に記述する計算論的フレームワークとして解説します。はじめに、変分自由エネルギーの持つ意味、離散形式Active Inferenceの基本構造を整理し、簡単な制御課題への応用例を紹介します。続いて、自動車の運動性能開発において従来エキスパートドライバーの主観評価に依存してきた運転における「意のまま」を、どのように定量的に扱えるかを考えます。操舵タスクを学習する生成モデルを構築し、運転者にとっての車両挙動の予測しやすさと変分自由エネルギーとの関係を検証した研究事例を通じて、計算神経科学を自動車開発へ応用する可能性を解説します。
講師
木寺 和治先生
株式会社本田技術研究所 総合研究センター パワー・ダイナミクス研究ドメイン チーフエンジニア
講義:オンデマンド配信
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講師紹介
木寺 和治(きでら かずはる)先生
現職
株式会社本田技術研究所 総合研究センター パワー・ダイナミクス研究ドメイン チーフエンジニア
経歴
1999年 本田技研工業株式会社入社、株式会社本田技術研究所に配属
1999-2008年 F1レース車両の車体制御システム開発
2008-2013年 量産車両のブレーキ制御システム開発
2013-2023年 国内自動車レース車両の車体開発
2023年-現在 自動車の先進技術開発(人研究・制御領域)
研究概要
車両制御および車両運動性能開発の経験を基盤として、人が車両の動きをどのように予測し、「意のまま」と感じるのかを計算論的に理解する研究に取り組んでいる。近年は、自由エネルギー原理とActive Inference Frameworkを用いて、運転者の認識・行動・学習を表現する生成モデルを構築し、従来は熟練ドライバーの主観評価に依存してきた車両運動性能の定量評価、および人に適応する車両制御への応用を進めている。
主な業績
Kidera, K., Miyaguchi, T., Yanagisawa, H. “Evaluation of ‘As-Intended’ Vehicle Dynamics Using the Active Inference Framework.” In: Albarracin, M. et al. (eds), Active Inference: IWAI 2025, Communications in Computer and Information Science, Vol. 2857, pp. 270–282. Springer, 2026.
木寺和治,深尾洋一郎,伊藤達哉:「第3期Honda F1駆動力制御システムの開発」,Honda R&D Technical Review, F1巻,SP号,pp. 180–189,2009.